丸野裕行著の原作を基に、闇社会でもがく男たちの生き様を描く本作。遠藤は、事件で四肢を失い、借金の取り立て屋として糊口をしのぐ、元ヤクザの勝浦茂雄を演じた。
榊監督は、企画の成り立ちを「原作兼プロデューサー兼脚本家の丸野裕行さんと出会い、『本を書いたんですけれど、出せませんでした』と酒の場で話しました。その時『本、出せなかったら映画なら作れるんじゃない？』と勢いでふっかけたんですね。それが３年前くらい。それで読ませてもらい（頭の中に映像化の）画が浮かびました。男の話に憧れがあり、こういう哀しい男たちの話を撮りたいなと思ったのがきっかけです」と話す。
遠藤は「（勝浦役は）心が一番勝負だったので、試してみたくなりました。予算の都合、CGのカット数も決められて、その辺の制約がいざやってみると大変だった」と吐露し、「生まれて初めて観た映画が『ジョニーは戦場へ行った』。戦争で両手両足のない人の話で、そのときに映画の怖さを感じた」と振り返った。
出演兼キャスティングプロデューサーの木下が、武田を債務者の娘役に抜擢したが、現場で武田は人生で初の顔を舐められるという試練に遭う。実は監督の「本番は思いっきり（武田の顔を）ベッチョベチョに舐めて唾液だらけに下さい！」という裏の指示があり、撮影後の武田は「茫然として、ご飯が食べられなかった」と複雑な乙女心を明かした。
そんな武田が、現場でスランプに陥った際、遠藤の「一回台詞もお芝居も全部忘れてやってみよう。何回でも付き合うから」という言葉に救われたことを語ると、遠藤が「ちゃんと陰でフォローしているでしょ？」と応じ、客席は笑いに包まれた。
映画『木屋町DARUMA』（アークエンタテインメント配給）は2015年10月3日[土]より渋谷シネパレスほか全国順次ロードショー
公式サイト http://kiyamachi-daruma.com/
