【映画の公式予告編で今旬の映画を!】[シネママニエラ]グザヴィエ・ドラン監督の映画『Mommy/マミー』で用いられた手法をひも解く。彼のオンリー1ぶりを知ってもらいたい。
まず、経歴。カナダ出身のグザヴィエ・ドランは俳優であり、映画監督でもある。映画『マイ・マザー』『胸騒ぎの恋人』で世界の映画シーンに鮮烈なデビューを飾り、続く映画『わたしはロランス』『トム・アット・ザ・ファーム』とデビュー以来全作品がカンヌ国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭へ出品され、早くも三大映画祭の常連に。カンヌ国際映画祭の審査員特別賞を受賞したグザヴィエ・ドランのスピーチ。
僕と同世代のみんなへ 誰もが自由に表現する権利があるにも関わらず、それを邪魔する人たちもいる でも、決して諦めないで下さい。世界は変わるのです。僕がここに立てたのだから
そんなグザヴィエ・ドランの表現の自由が本作にはつまっている。
グザヴィエ・ドランの映像技法の一つとして、画角の工夫が挙げられる。今回採用された1:1のアスペクト比は、主人公の個を強調するポートレイトショットとして有効な画角。余計なものが足せない分キャラクターが主役になり、観客の視線を集中させることができる。
グザヴィエ・ドランの前作『トム・アット・ザ・ファーム』では、人物の恐怖のピークに合わせて画面の縦幅を狭めていくシーンがある。意図的に画角を変化させることで人物の心の動きと観客の心情を同調させる効果をもたらす。
グザヴィエ・ドラン特有の、映像の切り取り方の一つとして、登場人物の背面から撮るショット。これは、劇中の人物と同じ目線を持つことで、彼らの視点や気持ちを追えるという効果をもたらすことに。ちなみに、カンヌ国際映画祭表彰式における象徴的なフォトセッションにおいてもドラン本人は背中を向けている。
登場人物の思考や願望、特に不安を描く為の手段として、カメラと人物の絶妙な距離感を設けているのも、グザヴィエ・ドラン特有の映像技法。玄関や廊下などの空間的要素を駆使しながら、距離感をコントロールすることで、人物の孤独感を描写していく。
映画『Mommy/マミー』あらすじ
とある世界のカナダでは、連邦選挙で新政権が成立。それから2か月後、内閣は、公共医療政策の改正を目的としたS18法案を可決する。中でも特に議論を呼んだのは、S-14法案だった。発達障がい児の親が、経済的困窮、身体的、精神的な危機に陥った場合は、法的手続きを経ずに養育を放棄し、施設に入院させる権利を保障した。46歳のダイアン・デュプレ(アンヌ・ドルヴァル)は未亡人歴3年。彼女の15歳の息子スティーヴ(アントワーヌ=オリヴィエ・ピロン)は、ADHD(Attention-Deficit / Hyperactivity Disorder:注意欠陥・多動症候群)をかかえているが施設から引き取り自分で面倒をみようとする。
映画『Mommy/マミー』は、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほかにて全国順次公開
カナダ映画/139分
原題=MOMMY IMDb
日本公開=2015年4月25日
配給=ピクチャーズデプト
公式サイト http://mommy-xdolan.jp/
Photo credit : Shayne Laverdière ©2014 une filiale de Metafilms inc.
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