[シネママニエラ]第28回東京国際映画祭の各賞受賞者が発表となった。東京グランプリはブラジル映画『ニーゼ』が選ばれ、女優賞とあわせて2冠!という結果に。
イタリア発のコメディ映画『神様の思し召し』がTIFF観客賞を受賞!
第28回東京国際映画祭の受賞結果
東京グランプリ 『ニーゼ』( © TvZero )
審査員特別賞 『スリー・オブ・アス』
最優秀監督賞 ムスタファ・カラ監督『カランダールの雪』
最優秀女優賞 グロリア・ピレス『ニーゼ』
最優秀男優賞 ローラン・モラー/ルイス・ホフマン『地雷と少年兵』
最優秀芸術貢献賞『家族の映画』
作品賞 『孤島の葬列』
国際交流基金特別賞 デグナー監督『告別』
作品賞 『ケンとカズ』
WOWOW賞『カランダールの雪』
観客賞 『神様の思し召し』
コンペティション部門のブライアン・シンガー審査委員長のコメント
「10日間で16本の映画を観て審議する、というのは大変な事でした。その上に、様々なイベントがあったり、私自身の映画のプロモーションを行わなければ、という事もあり、非常に大変な10日間でした。しかし、とてもやりがいのあるプロセスでもあったことは間違いない。今回の審査員の中には、(私と同じく)フィルムメーカーが多かったんですが、これだけ毎日一緒に映画を観て、食事をして、本当の意味において“仲間”という意識を持ちながら過ごす、という事はめったにない経験です。
普段は、カメラの後ろで観ている者が、先程の様な大きな舞台でスピーチを終えて、本当にほっとしているんです。(精神障害のある方と関わった過去の話を詳しく教えてください)21歳の時、精神障害のある子供たちのバスドライバーをやっていた事があったんですが、ダウン症の子供たちも多かった訳です。従妹にキャリーというダウン症の女の子がいたんですが、『ニーゼ』のワンシーンの中で思い出した事があります。病院の中で同じダウン症の患者さんがキャリーの胸を触った時に、看護師さんが優しく、「そういう事はやってはいけない」と教えたという話を叔父から聞いていました。映画の中で同じようなシーンがあり、ニーゼが、患者の秘められた感情を優しくフォローし引き出してあげているというのが、自身のいとこの思い出と覆いかぶさって見えたのです。
自分自身、色んなインディペンデント映画を作ってきましたので、インディペンデント映画を作るという事が、どれだけチャレンジな事であるかを人一倍わかっているつもりです。また、審査をする際(自分が)アメリカの映画監督であるために、よりスピーディーな作品を求めてしまった。しかし、トラン・アン・ユン監督と非常にゆっくりなストーリー展開である『カランダールの雪』の話になった時、自分が実際にあの映画を作るとなったら、どれだけ大変な事なのかを考える事が出来た。そういった意味でも非常に良い体験をさせて頂きました」
映画『ニーゼ』予告編
© TvZero
ホベルト・ベリネール監督が、精神科医の苦闘をストレートに描く。実在した不屈の女性精神科医をモデルにした主人公(グロリア・ピレス)は、ショック療法が正しいものとされ、暴れる患者を人間扱いしない精神病院に着任した。
ベルリネール監督は、過去にブラジルのストリートを生き抜く盲目の3姉妹や、飛行機事故で体の自由を失ったロックスターなど、苦境を跳ね返す人物に焦点を当てたドキュメンタリー作品を監督している。