[シネママニエラ]映画監督の黒沢清さんが、東京国際映画祭SAMURAI賞をマーティン・スコセッシ監督とともに受賞した記念としたトークイベントに出席しデビュー作映画『神田川淫乱戦争』から最新作『ダゲレオタイプの女』までの軌跡が語られた。
黒沢監督は冒頭で「こんな素晴らしい賞をいただけて光栄です。映画というのは、若い人を相手に作るのが本当の姿。絵画や演劇に比べたら若い芸術ですから。だから若い人たちと交流していたいのです」と挨拶。以下、監督のコメント。
学生時代に、長谷川(和彦)監督と雑誌の企画でお会いする機会があって。その後、脚本を見せるから、と呼ばれたんです。一番の若手だったので、監督の顔色なんて窺わずダメ出しばかりして(笑)。そしたら気に入られました。(ディレクターズ・カンパニーに所属し、『神田川淫乱戦争』が制作された)。
(そして長谷川監督の指示で相米慎二監督の現場へ)相米監督は変わった方でした。現場ではそんな彼の希望を叶えようとスタッフたちが駆け回る。僕、『セーラー服と機関銃』の助監督をやった際、薬師丸(ひろ子)さんと風祭(ゆき)さんとが遊ぶチェスの局を考えたんです。じっくり練って、よし、これで行こう!って、カメラ位置を見たら、その部屋の窓の外の10メートル先に置いてあって(笑)。チェス盤、ひとつも映らないんですよね。愕然としました。
出来上がったラッシュを見たら、そうやってスタッフが時間かけたシーンが幾つも切られていました。もちろん素晴らしい映画なので、その判断は正しいと思うのですが、自分が監督をやるときは、スタッフが頑張って作ったものはちゃんと使う。難しいシーンを撮るならば、入念に計算して撮ろうと決めました。
黒沢作品に登場する女性の原型は?
黒沢清 女性のことは全くもって分からないので。意識したこともないですね。ダメでしょうか?
監督は作品を見返しますか?
黒沢清 全く観ません。できれば2度と観たくないと思っています。恐らく死ぬ間際に折角だからと見返して、「やっぱり見るんじゃなかった!」と思いながら生き絶える気がしています(笑)
第29回東京国際映画祭は2016年10月25日[火]より11月3日[祝]まで
映画『ダゲレオタイプの女』(ビターズ・エンド配給)は2016年10月15日[土]より公開中
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