女優のんが2月5日、第90回キネマ旬報ベスト・テン表彰式にて、映画『この世界の片隅に』が作品賞・監督賞・読者賞の3冠に輝いたことを祝しサプライズ登場した。「キネマ旬報ベスト・テン」のトロフィーの重さは約5キロ。デザインはワダ・エミさんが本映画賞70回記念で手掛けたもの。なお米国アカデミー賞のオスカー像よりも約1キロ重いという。
同作でヒロインすずの声をつとめた、のん。司会者に促されるとすずの声で「ありがとう。この世界の片隅に、うちを見つけてくれて」と広島弁で述べた。檀上で真木プロデューサー、片渕須直監督と3人揃ってとびっきりの笑顔を見せた。
監督は、「原作のすずさん、18歳の小さな主婦がこういう人がいると思ってもらえるよう、アニメの動きや風景も工夫して、すずさんの空気を感じてもらえるようにし、そこにのんちゃんの声が入って完成したと思う」とのんの声によりキャラクターが生きたと太鼓判。
3つ目のトロフィーを受け取った、のんは「監督、おめでとうございます」と祝い、改めて「読者の方が選んでいただいた賞ということで、監督をはじめスタッフ、キャストのみなさん、そして観てくださった方、(制作資金の)クラウドファンディングに参加してくださった方、制作者の一員のような印象がある。かたちに残るもので評価していただけるというのが、自分のことのようにうれしいです」と喜びを表現。そして、すずの声は「監督からはとても面白い人でユーモアがあることを意識してくださいと言われ、自分も原作のオトボけた面、パワフルな面が大好きでしたので」と役作りを語った。
アフレコ時の思い出として、監督が「僕が指示し過ぎて、お昼ごはんを飛ばすこともあり、のんさんのお腹が鳴る音が録れてしまったり。スタッフもお腹を鳴らしていて。おにぎりを準備してのぞむことにした」と振り返ると、ほっこりした雰囲気に。実はアニメーション作品での監督賞受賞は本映画祭史上初!「アニメーションそのものが、表現できるところが増えてきている。アニメーションの作り手を代表していただいたものと受け止めます。これからも皆さんの心に訴えるアニメが誕生すると思います」として、監督は喜びをかみしめていた。
映画『この世界の片隅に』の作品賞受賞は、『となりのトトロ』以来28年ぶりのアニメーション作品。2月末よりメキシコでの公開を控えている。
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第90回キネマ旬報ベスト・テン表彰式は都内のホールにて開催され、映画『この世界の片隅に』の片渕須直監督とヒロインの声をつとめたのん、宮沢りえ、柳楽優弥、杉咲花、竹原ピストル、小松菜奈、川本三郎らが出席した。
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2016年 第90回キネマ旬報ベスト・テン結果
日本映画監督賞/読者選出日本映画監督賞 片渕須直 『この世界の片隅に』
日本映画脚本賞 庵野秀明 『シン・ゴジラ』
主演女優賞 宮沢りえ 『湯を沸かすほどの熱い愛』
主演男優賞 柳楽優弥 『ディストラクション・ベイビーズ』
助演女優賞 杉咲花 『湯を沸かすほどの熱い愛』ほか
助演男優賞 竹原ピストル 『永い言い訳』
新人女優賞 小松菜奈 『溺れるナイフ』『ディストラクション・ベイビーズ』ほか
新人男優賞 村上虹郎 『ディストラクション・ベイビーズ』ほか
外国映画監督賞/読者選出外国映画監督賞 クリント・イーストウッド 『ハドソン川の奇跡』
キネマ旬報読者賞 川本三郎 「映画を見ればわかること」
日本映画ベスト・テン第1位 『この世界の片隅に』(監督/片渕須直 配給/東京テアトル)
外国映画ベスト・テン第1位 『ハドソン川の奇跡』(監督/クリント・イーストウッド 配給/ワーナー・ブラザース映画)
文化映画ベスト・テン第1位 『ふたりの桃源郷』(監督/佐々木聰 製作/山口放送)
読者選出日本映画ベスト・テン第1位 『この世界の片隅に』(監督/片渕須直 配給/東京テアトル)
読者選出外国映画ベスト・テン第1位 『ハドソン川の奇跡』(監督/クリント・イーストウッド 配給/ワーナー・ブラザース映画
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