巨匠テンギズ・アブラゼ監督「祈り 三部作」一挙上映へ
ジョージア映画の不朽の名作であり、巨匠テンギズ・アブラゼ監督が21年の歳月をかけて完成させた「祈り 三部作」『祈り』(67)、『希望の樹』(76)、『懺悔』(84)を日本で初めて一挙上映することが決まった。そしてこのたび、ポスタービジュアルと本予告編が完成した。
テンギズ・アブラゼ監督は、今年110年を迎えるジョージア映画史の戦後の発展を担ってきた代表的監督。 ソヴィエト連邦グルジア共和国クタイシ生まれ。モスクワ大学卒業後、友人のレヴァズ・チヘイゼと劇映画第一作『青い目のロバ』(‘55)を共同監督し、カンヌ国際映画祭短編グランプリを受賞。以降、『祈り』では宗教の対立、『希望の樹』では因習、『懺悔』では独裁者によって困難を強いられる市井の人々を描き、社会的不正義を告発し続けた。しかし、その根底には人間への限りない信頼があり、寛容性、愛、自由への深い祈りが込められている。
冷戦の只中にあった1983年にロシア語学科在学中の大学生ながら発表した著作で芥川賞候補となり、近年は時事的な問題にも鋭く切り込むコメントが話題の作家・島田雅彦さんから「祈り 三部作」に寄せて以下のコメントが到着。
「古代の叙事詩のオーラを醸すこの三部作には歴史には残らないエモーションが刻みつけられている」
日本初公開。19世紀ジョージアの国民的作家V・プシャヴェラの叙事詩をもとに、モノクロームの荘厳な映像で描いた作品。ジョージア北東部の山岳地帯に住むキリスト教徒とイスラム教徒の因縁の対立を描き、敵味方を超えた人間の尊厳と寛容を謳う。(1967年/ジョージア映画/ジョージア語/白黒/シネマスコープ/78分)
<受賞歴>
1973年サンレモ国際映画祭グランプリ
20世紀初頭、革命前のジョージア東部カヘティ地方に美しい農村。時代の大きな変化を予感して村人たちはそれぞれに動揺していた。そのなか美しい娘と青年の純愛は古い掟と因習のために打ち砕かれてゆく。20世紀を代表するG・レオニゼの短編集が原作。(1976年/ジョージア映画/ジョージア語/カラー/スタンダード/107分)
<受賞歴>
1977年全ソヴィエト映画祭大賞、テヘラン国際映画祭金牛賞、1978年カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭特別賞、1979年ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞
架空の地方都市で、元市長の墓が何者かに暴かれ、犯人の女性が捕らえられる。彼女の証言によって、元市長の独裁により、多くの市民が粛清されたことが明らかになってゆく。スターリン時代を描いたといわれ、ソ連邦のペレストロイカの象徴となった。(1984年/ジョージア映画/ジョージア語/カラー/スタンダード/153分)
<受賞歴>
1987年カンヌ国際映画祭審査員特別賞・国際批評家連盟賞・キリスト教審査員賞、シカゴ国際映画祭審査員特別賞、1988年ソ連アカデミー賞作品賞、監督賞、主演男優賞、撮影賞、脚本賞、美術賞
岩波ホール創立50周年記念特別企画
映画『祈り 三部作』(ザジフィルムズ 配給)は2018年8月4日[土]より岩波ホールほか全国順次公開
後援:在日ジョージア大使館
映画『祈り 三部作』公式サイト
聖なる泉の少女(原題 NAMME) – 映画予告編
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