ポノック『屋根裏のラジャー』3つの挑戦とは?!
スタジオポノックの長編アニメーションの最新作『屋根裏のラジャー』製作報告会見が8月21日に帝国ホテルにて実施され、声優を務めた寺田心、安藤サクラ、イッセー尾形、百瀬義行監督、西村義明プロデューサーが登壇した。大変な映画制作をしたというなかで、明らかになったのは、「物語の挑戦」「表現の挑戦」「身の丈に余る挑戦」という三つの挑戦についてだった。
同作は、英国の作家A.F.ハロルド著の「The Imaginary」(邦題「ぼくが消えないうちに」こだまともこ訳・ポプラ社刊)をベースに、愛をなくした少女の想像が生み出した、少年ラジャーを主人公として描かれる冒険ファンタジーだ。
西村プロデューサーは、映画化に際して「主人公のラジャーはある宿命を背負っていた。その宿命とは何か。ラジャーは人間に忘れられると、この世界から消えてしまいます。人間に忘れられていく少年が主人公。それは本当に悲劇なのだろうか。それが悲劇だとしたら、“人間の人生も悲劇になる”と思いました。悲劇ではない物語があるはずだ!」と模索したという。
「物語の挑戦」では、一つの物語でもダイヤモンドのように「光の当て方で見え方が変わる多面性」を。「表現の挑戦」では、従来の3DCGや手書きアニメーションだけでは現せない、皮膚間として肌の下に血管や肉や骨があることが感じられる「質感を与える行程を挟むこと」を。「身の丈に余る挑戦」では、公開を延期して製作を続行する場合の一年間の人件費について「経営改革を実施したこと」に言及した。
百瀬監督は、「先週、メインのスタッフを中心にしてゼロ号試写をしました。ほぼ完成に近づき、最終的なチェックをしましたけど、効果音と音楽と台詞が入ったものは、メインのスタッフであっても初めて観るもので、見終えたスタッフから手応えを感じました。ホッとしたし、すごく心強かった」と心情を明かしていた。
会見の後半では、ボイスキャストが登壇し、それぞれが本作への思いを述べた。
僕自身も本当に公開を楽しみにしている作品です。オーディションは中学一年で2021年の秋、アフレコとプレスコが2022年の夏ごろで、収録にあわせて(自身の声も)そのまま成長していました。声変わり直前だったので、喉の調子を整えるために、刺激のある物を控えたり、白湯を飲んだり、大きな声を出さないように気をつけていました。アニメーションのアフレコ自体も初めてでしたし、(声にあわせてアニメーションを作る)プレスコも初めてで、毎日が発見ばかりでした。
今日、予告編やプロモーション映像で初めて作品の世界観を感じて、より楽しみになりました。「絶対に私がリジーをやりたい!」と強く思いました。こういう仕事をしていますと、イマジナリーを言葉にするとか、イマジネーションと暮らしている時間が常にあります。それは生まれた時から、想像力と現実の自分というのが、ずっと寄り添いながらいる感じです。
すごくインパクトがあって、素晴らしかったです。自分がこれに関わったのかと思うと、人ごとのようにびっくりしました(笑)。声優をやらせていただくのは3回目か4回目ですけれども、段々とコツがわかってきたところで、この役をいただきました。打ち合わせで、ミスター・バンティングの絵を見せてもらいまして、彼の顔にすごく親近感が湧きまして、「これは私以外にないだろう!」と思えました。
映画『屋根裏のラジャー』(原題 The Imaginary )予告編
© 2023 Ponoc
映画『屋根裏のラジャー』(東宝 配給)は2023年12月15日[金]より全国公開
© 2023 Ponoc
邦題:『屋根裏のラジャー』
原題:「The Imaginary」
キャスト:寺田 心 鈴木梨央 安藤サクラ 仲 里依紗 山田孝之 高畑淳子 イッセー尾形
原作:A.F.ハロルド「The Imaginary」(「ぼくが消えないうちに」こだまともこ訳・ポプラ社刊)
監督:百瀬義行
プロデューサー:西村義明
制作:スタジオポノック
映画『屋根裏のラジャー』公式サイトhttps://www.ponoc.jp/Rudger/
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