左からともさかりえ、長澤まさみ、佐藤健、森七菜、山田智和監督

佐藤健×長澤まさみ『四月になれば彼女は』語る

映画会見/イベントレポート

佐藤健×長澤まさみ『四月になれば彼女は』語る

川村元気著のベストセラー長編小説「四月になれば彼女は」(英題 APRIL, COME SHE WILL)を元にした、映画『四月になれば彼女は』の完成披露試写会がイイノホールにて開催され、佐藤健、長澤まさみ、森七菜、ともさかりえ、山田智和監督が登壇。映画化の経緯、脚本(脚色)、撮影エピソードなどが和やかな雰囲気の中で語られた。

左からともさかりえ、長澤まさみ、佐藤健、森七菜、山田智和監督
左からともさかりえ、長澤まさみ、佐藤健、森七菜、山田智和監督

佐藤が演じる主人公・精神科医の藤代俊の10年間の愛と別れを描いていく。藤代の婚約者役に長澤、藤代の同僚医師にともさか、藤代の学生時代の恋人役に森という配役。撮影は東京のほか、ボリビアのウユニ塩湖、チェコのプラハ、アイスランドにて海外ロケも敢行しており、監督は、長編初作品となる山田監督が務めている。主題歌は、藤井風の「満ちていく」。

「本日はお越しいただき本当にありがとうございます。こうやって映画が完成して、いち早く見たいと思い足を運んでくれることは本当に嬉しいです。我々にとっても本当に大切な作品です」と挨拶した佐藤。長澤は「みんなで頑張ってきた姿をやっと見てもらえるんだ!という嬉しい気持ちです」と笑顔を見せた。山田監督は「嬉しくて感無量です」としつつ、企画のスタートが4年前であること、脚本執筆は原作者の川村と行ったこと、「脚本の段階から佐藤さんと打ち合わせさせてもらいました。とにかく佐藤さんの原作への思いがものすごく熱いので、佐藤さんの目線も脚本に組み込みました。だからこそ、信頼して藤代役を任せることができました」と振り返った。監督から全幅の信頼を寄せられたわけだ。

長澤まさみ、佐藤健「また共演したいね」と現場で話した
長澤まさみ、佐藤健「また共演したいね」と現場で話した

そんな佐藤は、原作小説は刊行時に読んでおり、「永遠の愛なんてないんだ」とか、「ほとんどの人が言っている優しさっていうのは、自分が気に入られたいだけなんだ」といった皮肉めいていながらも真実味がある作中の台詞に強く惹かれたという。それに映像化の際は「藤代役を自分が演じたい!」とも伝えていたそう。そして、「本当かどうかわからないんですけど」と前置きし、「(川村)元気さんは『自分の周りから恋愛が消えたから小説にしたい』と小説を書かれたみたいですけど、『藤代役は健がモデルになっている』と言っていました」と明かす。実際に藤代を演じて、「不思議なもので、過去と現在で10年ぐらいを演じているんですけども、何も考えないで、そこに立っていたとしても、お相手が違うだけで自分の演技も変わってくる。そういう体験が初めてだったので非常に興味深かったです」と話す。

佐藤健「長澤まさみ、家で○○するの!?」

佐藤と長澤の映画共演は今作が初めて。長澤が「恋人役ですから役として向き合えるように「仲良くなりたいなぁ」と思うところもあり、雑談をしながら自分たちで二人の空気感を、藤代と弥生に近づくように歩み寄っていた感じ」と語れば、少し照れながらも佐藤が「撮影前からとても素敵な女性だと思っていた。真面目な話、今回本当にいいところたくさん知れて、“長澤まさみという人の魅力を僕は知らなかったんだ!”と思い知らされました。共演して本当に素敵な人だと思いました」とべた褒め。さらに「長澤さんから口止めされているんですけど話しますね!と大好きなエピソード」も語ってくれた。「現場で「そういうところとても素敵だと思う」と言ったら、「宣伝で言わないでね」って言うんですけど…言いますね(会場:笑)。すごく大事なシーンがあって、現場で僕は“とても素晴らしいステキなお芝居だな”と思っていたんですけど、本人はなんか納得いってなさそうで。「きのう、家で練習した時はもっとうまくできたのにな」とか言うんですよ。(大きな声で)“長澤まさみが家で練習するの!”って(笑)。……大好き!」と語り、会場からは歓喜の声も。

この流れから長澤も徐々に真面目にコメント。「CMで共演していた時からの知り合いですけどちょっとカッコ良過ぎて、こっちが恥ずかしくなっちゃって、ちゃんとしゃべれなくなる」そうだが、本作の共演により印象は大きく変わったという。「サービス精神もすごく旺盛だし、プロデューサー気質な部分があり、作品に対しての情熱がとってもある方。一緒にお芝居をしていても私の不器用さにちゃんと反応してくれて、寄り添って受け止めてくれる。きっと“ああしよう”とか理想があると思うけれど、そういう準備をした上で、現場では手放しで人を受け入れることができる器の大きい人という印象で、“とっても素敵な俳優さんだな”」と敬意を示した。

映画『四月になれば彼女は』の完成披露試写会
締めのご挨拶をする佐藤

山田監督は、キャストのエピソードにあわせて、それぞれに労いの言葉を残した。長澤には、「長澤さんは意外と座長気質。現場の雰囲気をつくってみんなを引っ張ってくれる。もちろん藤代との関係性もそうだし、現場全体の空気も「行くぞ!」みたいな空気を作ってくれる女優さん。小雨が降っていて『濡れちゃうから申し訳ないかな』と、僕がおどおどしていた時に、長澤さんが『全然大丈夫、行くよ!』って感じで、すごく心強かったです」。ともさかには、「子役の撮影はハプニングがあり大変でしたが、動じずに対応してくれた。いろいろな愛の形を描くことにトライした中、説得力が大事になってくるので、我が子を迎え入れるときの表情は、子育ての経験もおありで、かつ愛の本質を知っている感じをしっかりと残せたことがありがたかったです」と感謝し、キャストの中で唯一海外ロケがあった森には「海外に行った時にコロナ禍でいろいろな苦労がありましたが頑張ってくれました。素晴らしい景色がフィルムに映っていました」。(佐藤によれば劇中のキーとなる春の作品もほぼ森が撮影したものだそう。また森が佐藤を撮影した写真は、「恋するビジュアル(略称:恋ビジュ)」ポスターに採用されたという)。

海外ロケについて、「つらかったです~!」と発して会場の笑いを誘った森。爽やかな笑顔で「楽しかったですし、美しかったですし、おいしかったですよ。実際は、21日間で10か国周っているので、単純計算で2日に1回は違う国にいることになりますかね。目まぐるしすぎて『つらい!』とか言っている暇もないくらいでしたけど、日本に帰りたくてコロンビアで一度泣きました。春としては、いろいろな街を訪れるので、映画はそう観て欲しいですけど、かなり壮大な旅過ぎました」と心情を吐露。もちろん「映画でこのような旅をさせていただける事はなかなかないこと。大役を任せていただいて本当にありがたいなと思っています」という感謝の言葉も忘れていない。

ともさかが、「この映画は、若い世代の方に向けた物語だと思われるかもしれないですけど、いろいろな愛の形が詰まっているので、大人の自分も『こういう気持ちを通り過ぎてきたな』と、自分の懐かしい気持ちに向き合えるので、大人の方にもぜひご覧になっていただきたいです」と語れば、佐藤も最後に「恋愛のすべてが詰まった映画になっているんじゃないかなと思います。作品の中で弥生が『愛を終わらせない方法は何でしょう?』と問いかけますけども、恋愛には答えがないからこそ、考えるきっかけにしてもらって、この映画を観て皆さんだけの答えを見つけていただけたら幸いです」と締めくくった。

映画『四月になれば彼女は』(東宝 配給)は2024年3月22日[金]より全国公開
©2024「四月になれば彼女は」製作委員会

映画『四月になれば彼女は』あらすじ・作品データ

「あのときのわたしには、自分よりも大切なひとがいた。それが、永遠に続くものだと信じていた」
四月。精神科医の藤代俊(佐藤健)のもとに、かつての恋人・伊予田春(森七菜)から手紙が届く。“天空の鏡”と呼ばれるウユニ塩湖からの手紙には、十年前の初恋の記憶が書かれていた。ウユニ、プラハ、アイスランド。その後も世界各地から届く、春の手紙。時を同じくして藤代は、婚約者の坂本弥生(長澤まさみ)と結婚の準備を進めていた。けれども弥生は突然、姿を消した。「愛を終わらせない方法、それは何でしょう」その謎掛けだけを残して……。
(2024年/日本映画/108分)

映画『四月になれば彼女は』予告編

©2024「四月になれば彼女は」製作委員会

映画『四月になれば彼女は』公式サイトhttps://4gatsu-movie.toho.co.jp/
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