[シネママニエラ]第67回カンヌ国際映画祭授賞式が5月24日(現地時間)に行われ、トルコ出身のヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督の『WINTER SLEEP』が最高賞のパルムドールに選ばれた。なお、日本の河瀨直美監督の出品作『2つ目の窓』は惜しくも選外となったが、河瀨監督は受賞式にも参加し、さらには囲み取材に応じ「まだ道が続いている」として、しっかりと次回作への意欲を見せていた。
以下、河瀨直美監督の囲み取材を一問一答形式でお届けする。
■河瀨 監督コメント
――賞発表を終えての今の感想
河瀨監督:正直、悔しいです。映画に力を貸してくださったすべての方、特に奄美大島の人たちに賞を届けられなかったということが、悔しいです。カンヌは、まだまだ私に課題を与えてくれるんだな、と思いました。
――会場のひとつでは、発表時に名前がとびかったそうですが?
河瀨監督:会場に入れなかったひとたちのために、別会場で中継をしていたらしいのですが、そこで、パルムドール発表のときに、「ナオミカワセ!」と叫んでくださった方がいて、拍手でわいた、と聞きました。さっきも食事をしていたら、隣のテーブルの人たちから「僕たちのパルムドールだ」と声をかけられ、公式上映の後の会場でもそうでしたが、こういう一般の方の温かい反応が広がればいいなと思います。
――キャストとはどんな話をしましたか?
河瀨監督:若い二人が、「ここまで連れてきてくれてありがとう。私はこのことを力にします」と言ってくれました。若い人たちがそういうことを言ってくれたということが、すごくうれしかったです。
――監督にとってカンヌとは
河瀨監督:いい作品を撮ること、コンペに出るということが「当然」という現実があり、カメラドール、グランプリといただいて、次はパルムドールに手がかかっている、そこしかないという中、それでもまだチャレンジさせてくれる、まだ道が続いているというところだな、と。ワクワクします
――「朱花(はねづ)の月」に続い無冠ですが
河瀨監督:今回は本当に悔しいです。スタッフも出資者も強力な人たちで、みんなのこの作品にかける想いが強くて、その人たちに光を照らせなかったということが、悔しいです。
――日本に帰国したらしたいことは
河瀨監督:実りの時期をむかえているので、奈良の畑に行きたいです。
映画『WINTER SLEEP』は3時間16分という長尺作品であり、受賞者会見でも記者から上映時間についての質問が飛び出た。同映画祭での上映時において高い評価を得ており、受賞は確実視されていた作品のひとつであった。
受賞結果
◆パルムドール
ヌリ・ビルゲ・ジェイラン『WINTER SLEEP』
◆グランプリ
アリーチェ・ロルヴァケル『LE MERAVIGLIELE』
◆監督賞
ベネット・ミラー『FOXCATCHER』
◆男優賞
ティモシー・スポール『MR.TURNER』
◆女優賞
ジュリアン・ムーア『MAPS TO THE STARS』
◆脚本賞
オレグ・ネーギン、アンドレイ・ズビャギンツェフ『LEVIATHAN』
◆審査員賞
グザヴィエ・ドラン『MOMMY』
ジャン・リュック=ゴダール『ADIEU AU LANGAGE』
◆カメラドール
Marie AMACHOUKELI、Claire BURGER、Samuel THEIS『Party Girl』