[シネママニエラ]第68回トニー賞の授賞式が米ニューヨークのラジオシティミュージックホールで行われた。授賞式の司会者には歌、ダンス、トークの3要素が求められ、本年は俳優のヒュー・ジャックマンが立派に務め上げた。(取材協力:WOWOW 写真提供:Getty Images)
当日は、ステージ上ではなく会場前から放送を開始。司会のヒューが、両脚で飛び跳ねながら入館し階段を下りるなどステージ到着まで10分近く跳ね続けた。スタイリストも同様に飛び跳ね、テレビカメラ向けのポージングが求められていたほど徹底している。
受賞結果だけに注目される式典が多い中、同賞は米国ブロードウェイで上演された、優れた演劇作品、出演者に贈られる賞だけあって、ライブパフォーマンスが圧巻! ノミネート作品以外に話題作も招いている。『アナと雪の女王』で、日本でも広く知られるようになったイディナ・メンゼル主演「イフ/ゼン」、ウディ・アレンが脚色した「ブロードウェイと銃弾」、それに「キャバレー」「ウィキッド」も。新作として10月から上演スタートする「ザ・ラスト・シップ」の音楽を担当したスティングの生演奏も行われた。
主演男優賞に輝いたニール・パトリック・ハリス「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」、主演女優賞となったジェシー・ミューラー「ビューティフル-キャロル・キング・ミュージカル」、助演男優賞のジェームズ・モンロー・アイグルハート「アラジン」には、一目ぼれ状態になった。ぜひ同キャストでの来日公演に期待したいところ。不朽の名作映画『ロッキー』のミュージカル版「ロッキー」の一幕や「ア・ジェントルマンズ・ガイド・トゥ・ラヴ・アンド・マーダー」なども、チラ見と表現するには失礼なほど、素晴らしいもの。
なおかつ、サプライズ演出もユニークだった。キャロル・キングが飛び入りしジェシー・ミューラーと「I Feel The Earth Move」を熱唱。ヒューが担当した主演女優賞候補者紹介も定石ではなかった。やっぱりライヴは素敵! とにかく楽しませようというサービス精神が髄所に垣間見られた式典であった。(南樹里)
【後記】筆者個人としては、まず、クリント・イーストウッド監督が、苦虫を噛み潰したような、お得意の表情で登場(プレゼンターとしても登壇)したこと。監督の新作である映画『ジャージー・ボーイズ』の基となったのが、2006年のミュージカル作品賞受賞作だからというご縁で参加したとのこと。また、ラミン・カリムルー、グロリア・エステファンなどの登場もうれしかった。映画人も多数参加。オーランド・ブルーム、エミー・ロッサム、マギー・ギレンホール、ベラ・ファーミガ、イーサン・ホーク、ブラッドリー・クーパー、アラン・カミングなど。若手ではレイトン・ミースター、ザッカリー・クイント、マット・ボマーもおめかしして来場。
そこで、当日の生中継を見逃した方にも朗報。6月14日[土]午後8:00より「第68回トニー賞授賞式 字幕版」が、WOWOWライブにて放映されるので、ぜひお見逃しなく。