映画監督が、新しい企画――構えただけで惨事を起こすカメラ――を考える一方で自身の老いと向き合い、キャリアも見つめ直していく姿を描く。監督自身が劇中の監督に扮し、劇中の夫人役も、監督の奥様であるサンダ・グーピルが出演するなど、監督の実生活・家族の映像が一部挿入されている作品。
政治的意図を問われると、グーピル監督は「幸いにして、一本の映画で世界を変えることはできません。それができてしまえば独裁者が利用することでしょう。ですが、疑問を提示することで、考えることを促すことはできると思います」と明言。
劇中の挿入映像に話が及ぶとサンダが「(監督と)知り合った当時からカメラを手にしていましたので家族は撮られることに慣れています。ですが、子どもたちも大きくなると抵抗を感じ始めて、今作に関してはシナリオがりまして、子供たちに演技を求めたものです。上手に演じてくれてくれていたらいいなと思っていました」と語った。
「構えただけで惨事を起こすカメラ」という案の中には、アップライトピアノが上から落ちてくる場面も。そういう実体験があったのか問われると、「あれは実体験ではなく、あくまでも人生におけるリスクを表現しているだけ。友人を選ぶリスクも共通すること」と持論を展開していたが、「友人」という言葉から監督の日本の友人である映画評論家の故・梅本洋一さんの思い出話に及び、追悼を捧げていた。
2014年 フランス映画/85分
原題=Les Jours Venus
英題=The Days Come
© 2014 LES FILMS DU LOSANGE – FRANCE 3 CINEMA
[The Days Come]Japan Press Conference