大岡昇平著の戦争文学を映画化した『野火』は、第二次世界大戦末期のフィリピンに攻め込んだ日本兵の彷徨を、田村一等兵の視点で描くもの。上映前の舞台あいさつには塚本監督、森 優作、リリー・フランキー、石川 忠(音楽)が登壇。「監督の長年の思いがつまった映画。完成作を観て監督の潔さに感服した」(リリー)、「監督の強い思い、キャストやクルーの熱量で完成した作品。目に焼き付けてください」(森)、「聴きどころもいっぱい! 音響効果や音楽に打ちのめされていただきたい」(石川)。それぞれの立場で同作への思いを述べた。
塚本監督は「強烈な暴力はポイントでしか使っていないが、(鑑賞後に)げんなりされること100%。ただ、実際に戦争が始まれば、こんなものでは済まされないと思う。暴力は映画の中だけでたくさん!という気持ちです」と観客に訴えかけた。また、上映後のQ&Aでは、作品から感じ取った熱量に感化され、深い質問も多く、予定時間をオーバーする濃密な時間となった。
この日、コンペティション部門のジャ・ジャンクー(映画監督)審査員長はビデオメッセージで参加。登壇した柳島克己(撮影監督)審査員は「デジタル技術の進化による新しい表現や才能に触れることを楽しみにしている」といったコンペ作品に期待を寄せるコメントを残した。
本年上映の25作品は「いくつものミラクルとサプライズな経緯を経て決まった作品。開幕を迎えることができてかみしめている。皆さんと作り手の覚悟、勇気、愛をご一緒しましょう」という本映画祭の林加奈子ディレクターによる開幕の言葉も印象的だった。
第15回東京フィルメックス/TOKYO FILMeX 2014
会期=2014年11月22日[土]~11月30日[日]
会場=有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ日劇にて
公式サイト http://www.filmex.net/
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