[シネママニエラ]大岡昇平著の小説を基にした戦争映画『野火』が第15回東京フィルメックスで上映され、塚本晋也監督、森 優作、リリー・フランキー、石川 忠(音楽)が上映前の舞台あいさつと上映後のQ&Aに参加した。本作にオーディションで抜擢された森は「塚本監督の目が好き」と公開告白をして、監督を大いに照れさせた。
原作小説は、太平洋戦線の末期のフィリピン戦線が舞台。1959年に市川崑監督も映画化している、死を目前にした人間の極地を描写した戦争文学の代表作。カメラは、肺を患い部隊を追われた田村一等兵の姿を追う。
本作の映画化の経緯を監督は、「原作を読んだのは中・高校生でした。その当時は映画化ということは考えていませんでした。それで、自分が30代になってから映画化しようと動き始めました。80歳を超えた体験者の方々からもお話を伺いました、もう今その方々は90代です。だからこそ、今撮る必要性を強く感じました。戦争映画を撮るときに、被害者を主人公にしたイヤな体験談という描き方もありますけれど、自分はそういうタイプではなくて、自分が加害者になってしまう可能性の怖さを描く方を選びました」
配役については「本作の主演は自分で演じたくはありませんでしたが仕方がなく。小さい規模での撮影を許してくれる人、それに自分が好きな役者を選びました。リリーさんとは(ふたりが共演した)石井輝男監督の映画『盲獣vs一寸法師』の現場で気心が知れていましたし、中村(達也)さんは(自身の作品)映画『バレット・バレエ』以来。森くんは、オーディションで会ったときに、ラストシーンの芝居での豹変ぶりがすさまじかった。僕は彼のような素直さ、岩清水のような(無色透明だが手を加えれば何色にも染められる)青年を探していたので」と語っていく。
そんな岩清水のような森は「僕は映画の経験がないので、(現場では)塚本さんから言われたことをできるようにするだけで、一杯一杯でした。オーディションで初めてお会いして、物腰が柔らかくて、まるで道で会ったおじさんのように気さくにお話することができました。でも、目に宿るものがすごくて、惹きつけられたんです。同性なんですけど、塚本さんの目が好きです!」と公開告白! 意外な展開に、塚本監督は自身の目を両手でこすり、チャーミングな瞳をアピールして、観客の笑いを誘うというお茶目な一面を見せていた。
2014年 日本映画/87分
英題=FIRES ON THE PLAIN
日本公開=2015年7月25日
配給=海獣シアター
公式サイト http://nobi-movie.com/
©海獣シアター
第15回東京フィルメックス/TOKYO FILMeX 2014
会期=2014年11月22日[土]~11月30日[日]
会場=有楽町朝日ホールほかにて
公式サイト http://www.filmex.net/
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