[シネママニエラ]俳優の加瀬亮は、海外の監督との仕事も多い。そのなかでも本作との監督との相性の良さは本作を観れば一目瞭然。そんな映画がいかに制作されたか振り返ってみる。まずは当人のコメント。
奇跡のコラボが実現
加瀬亮「ホン監督と初めて会ったのは、雑誌の対談でした。監督は映画『3人のアンヌ』のプロモーションで日本にいらしていたので、最初はその映画の感想を伝えました。そのあとで一緒に喫煙所へ行き、監督の学生の頃の話、本の話など、いろいろと雑談をした記憶があります。自分にとっては珍しいことですが、顔をあわせたときから何かが手放しで通じる感触があって、とても嬉しい出会いだったのを覚えています」
ホン・サンス「加瀬亮さんが僕の映画が好きという話を聞き、偶然日本で会う機会があったが、あれこれ話をしているうちにとても良い人だと感じました。初対面でしたが、彼はとてもきれいで考え方が正しいひと。心の中で惚れました。廊下でタバコを吸いながら『僕の映画やる?』と聞いたら、やると言ってくれました」
主人公のモリ(加瀬亮)は、年上のかつての恋人を探しにソウルへとやってくる。年上の恋人を探し、ソウルの街をいったりきたりする間に、立ち寄ることになるカフェ・自由が丘。そこのオーナーのヨンソン(ムン・ソリ)が飼っている犬のクミ。クミとは韓国語で“夢”という意味。ある日、いなくなってしまったクミを、散歩中のモリが偶然見つけて連れ帰ったことで、ヨンソンと急接近。本作のテーマのひとつとなっている時間にしばられない、まるで夢のようなストーリー。
モリが、常に持ち歩いている本が、吉田健一著「時間」。冒頭でバラバラになったモリの手紙に沿って、物語は進んでいくものの、その時制は前後する。敢えてそのような手法を取ることで、どういった効果があるか? ホン・サンス監督の遊び心あふれる時間についての考察。
実は、撮影の際には自制が前後する構成になることは明かされていなかったという。そこに偶然にも加瀬亮が私物で「時間」という本を持ってソウルへ現れるという奇跡が起きた。劇中では、モリが「時間」について話すシーンも登場し、映画を見た誰もがモリが何の本を読んでいるかが気になること間違いなし。
映画『自由が丘で』は、2014年12月13日[土]よりシネマート新宿ほか全国順次同時ロードショー!
映画『自由が丘で』予告編
韓国映画/67分
英題=HILL OF FREEDOM(2014)
日本公開=2014年12月13日
配給=ビターズ・エンド
公式サイト http://www.bitters.co.jp/jiyugaoka/
©2014 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved.
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