『アクト・オブ・キリング』と対で被害者視点の『ルック・オブ・サイレンス』公開!
[シネママニエラ]実録映画『アクト・オブ・キリング』のジョシュア・オッペンハイマー監督の新作『ルック・オブ・サイレンス』の初夏公開が決定し、ティーザーポスタービジュアルが完成した。製作と監督はジョシュア・オッペンハイマー。共同監督は前作と同じく「匿名」、撮影はラース・スクリーがつとめている。
「あなたはなぜ、兄を殺したのですか」
1960年代のインドネシアで100万人の命を奪ったとされる大虐殺の実行者たちにカメラを向け、自分たちの行った虐殺を自らが演じて映画を作る、という前代未聞の手法が大きな話題を呼び、その禍々しさで賛否両論を巻き起こしながらも大ヒットした『アクト・オブ・キリング』の被害者の視点で撮られたのが、本作だ。
『ルック・オブ・サイレンス』の主人公は、虐殺で兄が殺害された後に、その弟として誕生した青年アディ。彼の老いた母は、半世紀もの間、亡き我が子への想いを胸の奥に封じ込め、アディにも多くを語らずにいた。
2003年、アディはジョシュア・オッペンハイマー監督が撮影した、加害者たちへのインタビュー映像を目にし、彼らが兄を殺した様子を誇らしげに語るさまに、強い衝撃を受ける。「殺された兄や、今も怯えながら暮らす母のため、彼らに罪を認めさせたい」と願い続けたアディ。2012年にオッペンハイマー監督に再会すると、彼と共に加害者のもとを訪れる。そして、母も知らなかった事実が明らかに。“悪”とは何かを問いかけていく。
今回完成したビジュアルで大きく写しだされているのは、眼鏡技師として働くアディが用意した、視力検査用の眼鏡をかけた加害者の顔。恐怖によって“沈黙”を強いられながら生きてきたアディは、無料の視力検査を行うことで加害者の警戒をかわしながら、彼らに核心をついた質問を投げかけていく。虐殺の被害者が、今もなお権力者である加害者と対峙するのは、想像を絶するほどの危険が伴う。このビジュアルは、そんな状況下で意志を貫いたアディの勇気と、それによって浮かび上がる、加害者たちの責任なき悪の象徴だと捉えられるだろう。
映画『ルック・オブ・サイレンス』は、2015年初夏よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
デンマーク・インドネシア・ノルウェー・フィンランド・イギリス合作/103分
原題=THE LOOK OF SILENCE(2014)IMDb
日本公開=2015年7月4日
日本語字幕=岩辺いずみ/字幕監修=倉沢愛子
配給=トランスフォーマー
公式サイト www.los-movie.com
2015年02月26日 掲載
2015年04月25日 更新[ポスター]
2015年06月05日 更新[初日]