佐藤は「カミさんがいないと何もできない女房依存症の夫を演じた佐藤です(笑)」と挨拶すれば、樋口が「女房依存症の夫を愛おしく愛おしく思う妻を演じました」と呼応し、劇中同様に阿吽の呼吸をみせた。
相性の良さは、このエピソードでもわかる。夫婦役を演じるにあたり、ふたりで話あったのか?と問われ、「まったくないんですよね(笑)世代が近いこともあり、日本映画界を引っ張ってきた先達たちを同じく見てきて、共通する部分が多い。話す必要がなかったですね」(佐藤)。「話さずにできたのは珍しいと思います。同じ時代を生きてきたからこそ、目指すものがいっしょでお互いに持ち寄ったものでできてしまうんですよね。夫婦が積み重ねてきたものを醸し出すのって難しいと最初は思ったのですが、できてしまいました(笑)」(樋口)とさらり。
そんな二人を北川が「映画に出てくる夫婦は理想です。感情を言葉にしない夫を奥さんがちゃんと察しているところなど、言葉や形のないところでお互い支え合って、長くいっしょにいられる、無償の愛は素敵です」と吐露すれば、野村も「ずっといっしょにいられることは素晴らしいこと。僕もそういう人と巡り合いたいです。一生愛せる相手がいるのって幸せですよね」と語り、さらに杉咲が「結婚…考えたことないな。まだ、わからないです(笑)」と素直に話す。
そんなほのぼの感ただようなか、キャラ全開の発言も。吉田が「理想の夫婦のあり方がわかっていたら、私は今独身じゃないです(笑)」と自虐気味。そして「私は7月と10月に(ロケ地である北海道の美瑛に)行ったんですが、2つの季節の移り変わりだけでも本当に美しいです。大通りは整備されていて、いろんなお店が密集していて楽しいんですが、閉店が早くて飲兵衛の私にはちょっと物足りないところも(笑)」と振り返った。また、柄本は「キレイなところ。何もないところ。飯食うところと夜開いている店がなくて、ね。歩くのは好きなので、よく歩きまわって気持ちよかったです」と、夫婦役でトーンを揃えて仲良くコメント。
劇中ではアイテムの手紙が涙腺を刺激する仕掛けとなっていることにちなみ、各人の手紙エピソードが明かされた。
日本公開=2015年6月30日
配給=アスミック・エース、松竹
公式サイト http://ai-tsumu.jp/
©映画「愛を積むひと」製作委員会
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有名人の手紙エピソード
「昔30代半ばのころ、三國が『生かされてあればこそ』と一筆くれたんです。勝手に生きているという振る舞いが鼻についたのかもしれません。今になってジワジワとその言葉の重みを感じながら、この仕事を続けています」
「20年ほど前にお亡くなりになった五社英雄監督の最後の2作品に出させていただいて、5通手紙をいただいたんです。『大きい大きい女優さんになってください。次回作は惚れすぎないよう、噛みつきたいと思います』とあって、女優にとっては殺し文句だなと。そろそろ朝原監督からも手紙をいただけると思っています(笑)」
「10年ほど前の母からの手紙ですね。10代で上京したばかりで、仕送りもしてもらっていて、迷惑ばかりかけていた私に『若くして自分のやりたいこと、進みたい道を見つけて、頑張っているあなたを誇りに思います』と書いてくれて…つらいときはいつも読み返してます。今も大切にとっています」
「上京するときにおばあちゃんから手紙と色紙をもらって、色紙に『堕落するな』と書いてありました。今も飾っています!」
「小さい頃、お泊り遠足に行く前、お母さんから手紙をもらって『気を付けてね、大好きだよ』と書いてありました。すぐ帰りたくなりました(笑)」
「誕生日に母から手紙をもらって、『羊ちゃん見たよ』と疎遠になってた方からも連絡をもらうようになったらしく、『人と人をつなぐ尊い仕事をしてるわね』と書いてありました。この仕事を選んだ意味を再認識させられました」
「20年ほど前、帰宅すると妻(=女優の角替和枝)からの手紙が置いてありました。『別れてください』と。謝って、謝って、どうにか40年続いています(笑)」
日本公開=2015年6月30日
配給=アスミック・エース、松竹
©映画「愛を積むひと」製作委員会