ホウ・シャオシェン監督が、唐代の中国を舞台にした裴鉶(ハイケイ)の伝奇小説「聶隱娘(ニエ・インニャン)」を実写化。格闘シーンは日本の侍映画を意識したそうだ。
監督は「脚色するにあたり大変だった。それに資金面では苦労した。カンフー映画というより、格闘シーンはリアルにしているので日本の侍映画に近いと思う。昔から日本の侍映画がとにかく大好きで、勝新太郎の『座頭市』は全部観ました。日本のチャンバラは中国のアクションとは違う。飛んだり跳ねたりしない。そのリアルさを表したかった。今作の挑戦はよく知るスタッフだからこそ成し得たと思う。それに経験豊かなキャストに集まってもらえて良かった」と述べた。
主演には、3度目となる女優のスー・チー(舒 淇)を起用している。監督の話によると映画冒頭のモノクロシーンは女刺客・隱娘というキャラクターを表現した色だという。演じたスー・チーは「難しい役でした。彼女の背景を含めて理解できていたのか。木に吊るされたシーンは忘れがたいです。アクションに感情をこめる必要もあり、現場では監督の求めに応じるのことにも必死でした」
俳優のチャン・チェンは「役作りにあたり大事だったのはキャラクターの背景。互いを理解するためにも、ダンスシーンの準備には1か月かけました」と語った。
初カンヌとなった俳優の妻夫木聡は「まだいろんなところに行けていないので、よくわからないのですが。こうして世界の方たちと一緒にいられ、とても刺激を受けます。そして、映画祭に出るような作品に関われてとても幸せです。短い期間ですが最後まで楽しみたいと思います」と日本人らしい謙虚な姿勢で控え目に述べると、モデレーターから「それだけ?」というツッコミを受ける場面も。(※中華系キャストの話が長めなため、極端に短く感じられたと思われる。中華系キャストは互いにマイクを譲る面もあり)
公式上映の会場・リュミエール劇場は2,300人以上が押しかけ超満員。上映後は最大な拍手と5分以上にも及ぶスタンディングオーベーションも。この公式上映で、初めて本作を鑑賞した妻夫木は「すごく好きな映画だと思いました。映像が美しくて、撮影中に何度もロケハンをして、何度も粘って撮り直しをしていたホウ監督は、やはりすごいと改めて感動しました」と熱く語った。
中国映画
原題=聶隱娘 刺客
英題=THE ASSASSIN
日本公開=2015年 秋
配給=松竹メディア事業部
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