[シネママニエラ]俳優の安藤政信が8月7日に、鬼才・石井隆監督の映画『GONIN サーガ』完成報告会見に出席し「愛情がなかったら恨まれちゃう」と狂気をはらむ芝居の裏に作品に対する愛情があることを明かした。会見には東出昌大、桐谷健太、土屋アンナ、安藤政信、竹中直人、石井隆監督が揃い、柄本佑はビデオメッセージを寄せた。
本作は、映画『GONIN』で鶴見辰吾と永島敏行が演じた大越組・若頭と組長の遺児ふたり(東出、桐谷)の成長後の視点で描くクライムムービー。石井監督は「当時から(ビートたけし演じる殺し屋に狙われ)命を落としたふたりにも家族がいただろうな。遺された人を描いてみたい」と思っており制作の機会をうかがってきたという。
主演の東出は「前作は大好きで、色々なひとから熱い話を聞いています。根津(甚八)さんが事務所の先輩ということもあり、その期待をプレッシャーという形ではなくたすきだと思って、引き継いでいけるように心がけました」と、本作に対する真摯な姿勢を見せる。ただ、銃を扱うのは初めてで「薬莢が飛ぶ時に目を閉じないよう指導された。鶴見(辰吾)さんのキャラクターを反映させてという監督の指示で、銃の構えを横撃ちにした」そうだ。
俳優業を引退した根津が、石井監督の求めに応じて本作のみの復帰を果たしていることでも話題の本作。多くの作品をともにしたものの「私生活を一切知らない。飲みはあっても、現場で培ったものしかない。その培った言葉で出演の交渉をした。今回初めてご自宅に伺った。現場では俳優・根津甚八として接した」と監督は話す。監督と根津のやりとりを目の当たりにし、俳優としてのたたずまいを含めて、登壇者全員が根津に対して畏敬の念を抱いていることを述べていた。
そして桐谷は、劇中で安藤に殴られるシーンは「怖かった。雨のシーンの安藤君は色々な意味で狂気をはらんでて、アクションなのか本気なのかを超越したシーンです。石井監督が『ああいう役者は凄い』とおっしゃっていました。ケガはしていませんよ(笑)」と述懐。その石井監督は土屋から安藤が拳骨で殴りそうと知らされ、安藤に「グーではなく平手で、ね」と指示したという。安藤は苦笑いで「愛情が無いとあそこまでやったら恨まれますね。監督がテンションをあげてくれるおかげです」と相互に敬う姿勢を見せた。
日本映画
日本公開=2015年9月26日
配給=KADOKAWA、ポニーキャニオン
公式サイト http://gonin-saga.jp/
©2015『GONINサーガ』製作委員会