世界の金融マーケットの中心地ニューヨークを舞台に、非情なマネー・ゲームの行方を描いた映画『ウォール街』。筆者の場合、同作の影響(や諸々と、あとご縁)もあって大学卒業後は都市銀行に勤めたほど。ま、今は映画ライターですが。そんなわけで、巨匠オリヴァー・ストーンが放った、この問題作の続編にあたる映画『ウォール・ストリート』の公開にあわせ、監督が4年ぶりに来日されたので、お話を伺ってまいりました。
オリヴァー・ストーン監督が来日、映画『ウォール・ストリート』を語る
――まずは、23年ぶりに続編に着手した理由を教えてください。
オリヴァー・ストーン監督「前作は1980年代で金融界では自由市場=金融緩和が始まりました。そして、それは2008年のリーマンショックで終わりましたよね。ですので、このタイミングに!と思いました。つまり、この『ウォール街』と『ウォール・ストリート』という作品は、本棚の初めと終わりという感じ。前作が花開く若きバド・フォックス(チャーリー・シーン)のモラルの話で、どうやって成長していくかを描いたもの。そして、本作は年をとったゴードン・ゲッコー(マイケル・ダグラス)のモラルを捉えていく映画になっています」
――主人公のゴードン・ゲッコーについて。
オリヴァー・ストーン監督「ゲッコーは、拝金主義者で人間に興味がないが、時代がそんな彼をもてはやしていたんだ。成功さえしていれば、どんな人間でも受け入れられていた。だが結局、法で罰せられた。そういう点では、人間として道徳心があるか、ないかということだと思う。ゲッコーは連邦刑務所から出てきて本当に反省したのか、彼の微笑みがその答えです。また、ラストの決断は娘に認められたいためか、やはり金のためなのか、ご覧になったみなさんが決めていただければ!」
――本作のこだわりはどのような部分でしょうか。
オリヴァー・ストーン監督「『ウォール街』を作った時は、父が仲買人ということもあり、ニューヨークもそれなりに知っていたため、ブローカーの人たちも相談にのってくれた。私には全く知らない世界ではない。だからこそ、とても楽しかった。だから続編製作にあたって、撮影前にたくさんリサーチをしたのさ。当時の銀行は巨大な資本を持っていて、100年間で新しい市場を作ったが、その利益を社会に還元しなかったことが更なる問題となった。自分はそこに着目し本作で描きたい!と考えたんだ。また、銀行が罪悪感を持たず、国が企業の救済を決めたこと、また救済しなかったことも驚くべき出来事で、そうゆう部分も本作に取り入れた。恐らく、これは初の試みだと思うよ」
――オリヴァー・ストーン監督、ありがとうございました。
原題=Wall Street 2:Money Never Sleeps
日本公開=2011年1月28日
配給=20世紀フォックス映画
公式サイト
c2010 TWENTIETH CENTURY FOX
<ストーリー>
2001年に服役したゴードン・ゲッコー(マイケル・ダグラス)は、8年の歳月を経て、連邦刑務所の外へ出てきた。もはやウォール街の王ではない彼は髭が伸び、髪もボサボサ、迎える人は誰もいない。疎遠になっているとはいえ娘のウィニー(キャリー・マリガン)すら姿を見せずじまい。ゲッコーは今や一人ぼっちで、しかも組織の外にいるアウトサイダーだった。
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