竹野内豊の散文詩×江口洋介の韻文詩の融合
本作は、西田敏行主演のドラマ「池中玄太80キロ」などのテレビドラマ界の巨匠・石橋冠監督の初めての映画監督作。長年抱き続けていた「映画を1本だけ撮りたい」という思いが遂に結実。「日本のベニス」と評される富山県・射水市新湊の「曳山まつり」を舞台に親友の不慮の死に直面した主人公・中原祐馬(竹野内)を軸とし普遍的な人間ドラマをつむぐ。360年続く伝統あるこの祭りが毎年10月1日に行われることからこの日会見となった。
竹野内が対峙する西町会長・武田善二役の柄本は「わたしだけ悪役だったのでイヤだなと思い出演オファーを一度はお断りしたんです。そしたら監督に叱られまして…」とストレートに語る。これを耳にした登壇者は先輩俳優と巨匠の関係性に驚きつつも、柄本につられて笑顔に。石橋監督は「武田会長は立場として悪役。柄本さんは演じにくい役をお願いできる方。やりづらいシーンに発明品の演技を入れてくれる」と賛辞をおくるほど、二人の間には固い信頼関係が伺えるやりとりを展開。
そして監督は「祐馬のドキュメンタリー映画として撮ろうと思い、竹ちゃん(=竹野内)に任せちゃえ」という演出プランを明かす。そう思い至った理由も「繊細な人なので、演技の強要はしないでおこう、と。だから竹ちゃんには詳しいことを言わないで行き当たりばったりにした。それがスリリングで。曳山のアップは大好きなショットが撮れました!」と話し得意満面な様子。監督いわく「竹野内豊の散文詩」×「江口洋介の韻文詩」の融合で相乗効果をもたらすことに成功した。
また監督は「敏ちゃん(=西田敏行)は僕の恩人。稽古を積むと出てこない、テイク1の素晴らしさを気付かされた」と語り、ビートたけしのことも「”北野武監督”ですから緊張感あった。俳優としては素直に言うことを聞いてくれるしラストシーンに北野さんのサインをもらったよう」だと、とにかくキャスト全員をべた褒め。優香も「肩をポンたたかれてよろしくね」と言われただけでやる気になったという相違相愛ぶり。ドラマ界の名匠は銀幕においても、その手腕をいかんなく発揮したことが伺えた。
映画『人生の約束』(東宝配給)は2016年1月9日[土]より全国公開
公式サイト
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