[シネママニエラ]第28回東京国際映画祭コンペティション部門出品作『さようなら』の上映後会見がマスコミ向けに行われ、深田晃司監督、石黒 浩(アンドロイドアドバイザー)、ブライアリー・ロング(主演女優)、ジェミノイド F(アンドロイド)が出席した。もしアンドロイドが女優賞を獲れば、演技する意味とは何か疑問が提示されるはずといった話題も出た。
本作は未曾有の事故を襲った日本が舞台。異国への避難がすすむなかでの人間の生と死を、アンドロイドの視点で見つめ迫っていく。
ロボット工学者で大学教授の石黒先生は、アンドロイド俳優・女優の特徴は(1)疲れない、(2)低賃金で稼働、(3)人の想像を引き出すとした。特に(3)は「人間かロボットかは2分間向き合えば判別がつく。それは人間の複雑さに対してアンドロイドはシンプルだから。ただ、そのシンプルさというのは情報の少なさであり、人間は情報が少ないと勝手に想像しポジティブに受け止めて補っていく。演じ手として観客の受け止め方に幅がでると思う」というアンドロイドの可能性を提示。
深田監督も「アンドロイドが人間を超える瞬間が何度か訪れる。それがすごく面白い」と同意。だが「屋外撮影で気付いた、このアンドロイドの難点は雨に弱いこと」と端的に述べる。しかし、この雨に弱いには石黒氏が補足。「雨には強くできる。アンドロイドはモーターで動くのではなく空気アクチュエータなので」と仕組みに言及した。
「約15分のオリジナルの舞台を軸に想像で設定を膨らませた。原発の同時多発事故で日本が居住不能な土地となり、日本人が難民になることや、ヒロインが難民である設定は映画用」
「とにかく素晴らしい心に残る役。良い体験をさせていただきました。世界の方々に観ていただくことを願っております」
「アンドロイドをつくるだけでなく、どう使うかということも考慮している。今作で求められたのはロボットを人間らしくする難しさ。日常生活を人間らしくみせる必要性があり、アンドロイドが役を演じるのは世界初の試みだと思います」
映画『さようなら』(ファントム・フィルム配給)は2015年11月21日[土]より東京・新宿武蔵野ほかにて全国公開
公式サイト http://sayonara-movie.com/