香港の名匠ピーター・チャン監督

映画『最愛の子』ピーター・チャン監督「現代中国が抱える問題」を語る

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香港の名匠ピーター・チャン監督
ピーター・チャン監督
[シネママニエラ]香港の名匠ピーター・チャン監督が来日し11月23日、第16回東京フィルメックスにて上映の映画『最愛の子』上映後Q&Aに登壇した。上映時間130分の本作の終盤の約20分間は、監督も客席で鑑賞。観客の反応を直に感じたかった様子。

映画『最愛の子』作品情報・予告編

観客に向けて「日本のみなさま、お久しぶりです。今回は悲しいお話をご覧いただきましたが、これは実話をベースにした映画です。この(子どもの誘拐の)実話をニュースで知ったとき、私は心を動かされ、映画にしなければと思いました」と語った。

「なぜ、この事件を映画にしようと思ったのか」という観客からの質問に対して、10分近く熱弁。「中国では年間20万人の子どもが誘拐されています。中国における子どもの誘拐事件には、貧富の差や急激な経済成長、都市と地方の格差、一人っ子政策など現代中国が抱える問題が大きく関係している。中国にとってセンシティブなテーマではあるが、子どもを奪われた側、その子どもを育てた側の両側面から見てみたいと思った。そのために、敢えて商業映画ではタブーとされる二部構成にして、被害者の親、そして加害者の親それぞれの視点を描きました」と、現代中国が抱える問題点をあげ、制作意図を明かした。

また、「加害者とされる母親は悪い人ではないのです。ただ子どもを愛しているのに加害者として責め立てられるシーンでは、被害者の人々が逆にモンスターのように見えたりもする。世の中に絶対の悪や正義などないのです。何か大きなテーマを掲げて説教するのではなく、映画というかたちでみなさんの心にこのお話を届けられたらと思いました」と、本作への思いをあらたにした。

そしてファンに向けて次回作にも言及。女性アスリートが題材の伝記映画は2016年撮入、2017年完成を目指すという。

映画『最愛の子』(ハピネット、ビターズ・エンド 配給)は2016年1月16日[土]よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開
公式サイト http://bitters.co.jp/saiainoko/

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