人の人生には酷いことが必ず起こる
「昔はカール(2015年100歳で亡くなったご主人)と一緒に、毎年6月から9月までの3か月間、船で旅行していたの、飛行機は嫌いだったから。日本には行く機会がなかったけれど。
私が好きな場所は中近東や北アフリカ。アメリカでもヨーロッパでもないカラフルでエスニックな雰囲気を満喫できるところが好きなの。私はフリーマーケット・フリークだから中東やモロッコの市場はもちろんのこと、パリやヨーロッパのフリーマーケットも大好き。
年々、掘り出し物はなくなってしまっているけれど、それでも市場は大好きよ。ここパーム・ビーチでもフリーマーケットには良く出かけるのよ。何かを買う時の決め手は、“I love or not love” (意訳:ときめくかときめかないか)で、物を買うときも人目ぼれ。何でもあれこれ迷うのは大嫌い。ただお金が足りるかしら? と思うことあるけれど。即決できない人と買い物に行くのは本当に苦痛だわ。
それに、私はいつも何かしていないとダメなの。魚のヒレみたいに。一日中、居間に座って何もしない事ほど辛いことはないわ。このクリスマスはカールが亡くなって初めて一人でクリスマスを過ごしたのだけど、本当に憐れだったわ。仕事は辛いこともあるけれど、ハードワークであればあるほど私は楽しくハッピーになれる。私にとってハードワークは全ての良薬ね。人がリタイアを考えるというのは誤りだと思うわ。
人が幸せに生きるためには、Know who you are=自分自身を知ること。良き友をもつこと。自分の好きなことをすることができることが必要だと思うわ。自分の嫌いな仕事をしなければならないのは悲しいことよね。私は幸い私の好きなことをやってくることが出来た。それに、とても素晴らしい結婚生活を送ることができたわ。
でも、いつもハッピーだと何がハッピーだか分からなくなるから、時には悲しい事も必要ね。そうするとハッピーということはどういうことか分かるから。人の人生には酷いことが必ず起こるもの。家族を亡くしたり、友人を亡くしたり、仕事を無くしたり。私にとって主人を亡くした事はとても辛いこと。仕事をすることは私にとって、その辛さを乗り越えることでもあるの。だから働き続けるの。
そして、何事もすべてチャレンジだと思っているの。何でも、いつでも全てが私にとってチャレンジ。チャレンジするのが大好きよ。私は計画を立てて物事を進めたりしないの。私がやりたいと思ったことを提案すると「やりなさい」と言ってくれる人たちが出てきて、それの繰り返しでやってきたから。94歳になった今でも、いろいろな仕事のお声をかけてくれる人たちがいる。そのことを本当に感謝しているわ」
2005年、メトロポリタン美術館が彼女の所有するコスチューム・ジュエリーのコレクションの展示を打診。 膨大なクチュール・コレクションの集大成を展示した「 Rara Avis: Selections from the Iris Apfel Collection 」は評判を呼び全米各地のミュージアムで展示が行われ、アイリスは自らを『80代の新人』と称した。
映画『アイリス・アプフェル!94歳のニューヨーカー』(KADOKAWA配給)は2016年3月5日[土]より角川シネマ有楽町ほかにて全国公開
映画『アイリス・アプフェル!94歳のニューヨーカー』特別映像
©IRIS APFEL FILM, LLC.
アイリス・アプフェル「ホワイトハウス建造当時のオリジナルを忠実に再現していく」
彼女自身の転機ともなったメトロポリタン美術館での展示会の経緯について明かされるシーンの本編映像はこちら
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