[シネママニエラ]歌舞伎役者の中村勘九郎が主演し、松坂桃李らと共演する映画『真田十勇士』がクランクアップを迎え、キャスト陣は役衣装で会見に臨んだ。
堤幸彦が2014年に演出したスペクタクル舞台「真田十勇士」を、堤監督が同時期に再び舞台そして映画化するという映画界・演劇界にとって世紀のダブルプロジェクトとなる本作。天下の名将と名高い真田幸村が実は腰抜けで、幸村を本物の立派な武将に仕立てるため、猿飛佐助が大博打に打って出る物語。約2か月半に及ぶ撮影がクランクアップを迎えた。
この日の会見には、猿飛佐助役の中村、霧隠才蔵役の松坂をはじめ、大島優子、永山絢斗、加藤和樹、高橋光臣、駿河太郎、村井良大、荒井敦史、青木健の十勇士メンバーが勢揃い、更に、加藤雅也、大竹しのぶ、石垣佑磨、そして、堤監督の総14名が登壇した。
「まずは、本当に過酷だった撮影が終わりまして、このようなクランクアップ会見ができたことを嬉しく思います。2014年にあった舞台中に『映画にしてくださいよ~』と冗談で言っていたら本当になってしまって、さすが堤監督だなと思いました。撮影は過酷でした。時代劇、戦国ものである程度は覚悟していましたが、予想以上の大変さで。顔だけでなく心の中もかっこよく美しい俳優陣、優秀で信頼のできるスタッフのおかげで無事に撮影を終えました。セットは豪華で、ロケ地も広大で、夢みたいな2ヶ月半でした。飛べない設定だったのでワイヤーアクションはなかったのですが、松坂くんに抱えられて飛ぶシーンがあってとても楽しかったです。そして、日本で阿部寛さんと石垣佑磨さんしかやっていないエアラム(※アクションシーン用の器具)ができてよかったです。この作品に参加できたことを誇りに思っています。今までにない時代劇、映画になっていると思いますのでご期待ください」
「台本からは想像できないことがたくさん起こっていまして、空を飛んだり、馬とともに走ったり、敵陣に突っ込み、敵兵をバッサバッサと切ったり、忍者は少年漫画を地で行くような動きの連続だなと思い、楽しい日々を過ごしていました。「馬と一緒に走ってください」と堤監督に言われて、「馬に乗るんですか?」と聞くと、「いや、馬と一緒に並走して走ってください」と言われて。「何を言ってるんだろうか?」と思ったのですが(笑)。不可能を可能にする監督だなと思いました(笑)。作品ができるのがすごく楽しみですし、子供から大人までたくさんの方に見ていただける作品になるのではと思っております。楽しみにしていてください」
「女性は一人しかいなくて、男くさい現場だなと思いました(笑)。みなさんすごく仲が良く、現場は朗らかで雰囲気はとてもよかったです。撮影に入るとキリッと顔が変わるん姿に、遠目から見て素敵だなと思っていました。(会場で流れた映像を見て)この素敵な空間が映像にも伝わっているんだなということを確信しましたし、何よりもみなさんの殺陣とアクションがとてもかっこいいです。現場スタッフさんたちも大変そうでしたが、武士のように闘っている姿を見て本当にかっこいいなと思っていました。
監督はなんでも私にやらせるんですが(笑)、今回は木を縦に走るアクションをワイヤーでやりました。なかなか難しかったですが、いい経験になりました。堤監督は何度かご一緒させていただいていますが、イチイチすごいなと思いました。細かなところまで行き届いていて、迫力のある斬新なものをお届けするというパワーを秘めている方だなと思って、今回もご一緒させていただけることをとても嬉しく思っています。圧倒的な映像を楽しみにしていてください」
「撮影中、1回だけ昼食がはいって、ほかはつなぎ(※軽食)で昼食時間がありませんでした(笑)。また、鎧をつけているので脱ぐと時間がかかるのでトイレにいけないため、あまり飲まず食わずで撮影していたのがすごく思い出に残っています。自分が演じた幸村というキャラクターは希代の名将と言われていた人物。そんな偉大な人間が実は気が弱かった、彼の功績はすべて偶然だった、という設定が非常に気に入っています。堤監督とは、どの程度までコメディをやればいいのか、最後死を覚悟したときに修羅のごとく立ち向かって本当の武将になる姿を描きたい、そこでのさじ加減がうまくいかないとウソになる、という話をしていました」
「12月で撮影が終わって、ほとんど外には出なかったので、みんなの苦労は分からないんですけど、合戦のカット割りを見せていただいて、「本当にこれを人がやるんですか?アニメにした方がいいんじゃないの?」と言ってしまったぐらいでした。お昼ご飯もほぼなく、夜遅くまで撮影し、撮影期間も延び、過酷な撮影だったと聞きましたが、キャスト・スタッフ含め一人一人が、映画を作ることに誇りを持っていた現場だなと思います。なかなかこういう現場はないので、それを動かす堤さんはイチイチ何者なんだろうなって思います。出来上がるのを楽しみにしています」
「2役やれたことが嬉しかったです。過酷でしたが、みなさんと戦国時代にトリップできたのが嬉しかったです」
「過酷でした。それ以上に楽しかったのが素直な気持ちです。舞台から参加させていただいているのですが、勘九郎さん筆頭にしたチーム感、それを引っ張ってくれる加藤雅也さん、映画に参加したみんながチーム一丸となって、このメンバーでしかできなかった作品に仕上がると思います。完成を楽しみにしています」
「時代劇を愛する人間としては、どういう作品になるか楽しみにしていたのですが、堤さんの演出にかかると、こんなにスケールが大きく、スピード感があって、笑えて泣ける時代劇になるんだと撮影中、毎日毎日感動していました」
「舞台から参加させていただいていますが、チームワークがよく明るく楽しく撮影ができました。その中で闘っていく戦国の厳しさが画面からでてるのでは思います。ワイヤーアクションだったり、吊りがあったり、人としてありえない動きが多く、敵役だったので十勇士と共演シーンはあまりなかったのですが、役者としてこういう悪役をやってみたかったので光栄です」
「舞台も大変でしたが、映画ではこんなに走らされるとは思っていませんでした。こんなに立ち回りがあるとも思っていませんでした。三好兄弟すごく強くて、ところどころで闘っていまして、今年38歳になりますが、まさか馬と並走するとは思っていませんでした。期待していてください」
「舞台から参加させていただいています。十勇士全員に個性があり、一度見れば好きになる素敵なキャラクターばかりです。面白おかしい、だけど最後泣けるというエンターテインメントな作品ができあがると思います。撮影は冬でたまに雪も降っているほどの寒さだったのですが、それを弾き飛ばすほどの役者さん・スタッフさんのアツさで画面いっぱいに男気が溢れていると思います」
「映画からの参加ですが、素晴らしい先輩方と共演することにとてつもなく緊張していました。そんな僕を優しく迎え入れていただいて。とても勉強になりました。デビュー当時はこんな超大作に出れるとは思ってもいませんでした。撮影では、寒さの中で甲冑が防寒具になっていて助けられました」
「立ち回りが凄いという話を聞いていました。100~200名ほどのエキストラさんがいて甲冑をきて走り回ると、こんな感じが戦場だったのかなと思うぐらいで、すさまじい音と砂埃、爆発、、、すごい迫力でした。本気でぶつかり合っていく姿が凄かったので、スクリーンを通じて伝わるといいなと思います」
「とにかく面白いものにしなくてはいけないというプレッシャーを受けています。なにしろ役者の熱量が半端ないです。役者の熱量を舞台の上では全面的に出せばいいのですが、映画はそれに加え、映像技術・特殊効果・コンピューターグラフィックスなど様々な面で映画の楽しみを加えていかないといけない。何度見ても手に力が入り、笑い、涙するカットが大量で、「面白いな」「ハマるな」というのが正直なところです。日本映画でできるあらゆることを詰め込みましたので、盆・暮れ・正月がいっぺんにくるような映画に仕上げたいと思っています。舞台の初演の段階ではプロジェクションマッピング、ワイヤーワークなど舞台でできるパワーをかけたのですが、熱量のある芝居を楽しんでもらうのが一番の目的。舞台の再演はさらに上回ることをしなければいけない。初演では役者さんはバックヤードでは針治療を受けながら舞台にでていてツラい状況だったのですが、再演はもっとすごいです。再演は映画を上回るものにしたいですし、映画は相乗効果で映画の最高峰を狙っていき、パワーをたたきつける作品にしたいです」
映画『真田十勇士』(松竹、日活 配給)は2016年9月22日[祝・木]より全国公開