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映画『ディストラクション・ベイビーズ』真利子哲也監督「泰良役は柳楽優弥以外に考えられない」

映画『ディストラクション・ベイビーズ』真利子哲也監督「泰良役は柳楽優弥以外に考えられない」

[シネママニエラ]実力派の若手俳優たちが新たな姿を見せている衝撃作『ディストラクション・ベイビーズ』のメガホンを執った真利子哲也監督に企画の成り立ちから同作に込めた思いなどの話を聞いた。

「(企画の成り立ちは)2012年4月にミュージックビデオの依頼を受けて、愛媛県松山市にはじめて足を運びました。そこで取材を終えて、同行していたプロデューサーと呑み歩いている時に、とあるバーのマスターをしていた男と話していてその生き様に感銘を受けちゃって。彼は同世代なんですが、十代から路上での喧嘩を生業のように生きてきて、はじめは冗談かと思いましたが、その話を裏付けるように拳が嘘をついていなかった。ミュージックビデオを撮り終えてから、すぐ松山に住み込んで喧嘩について聞き込みをはじめましたんです。

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(本作の)主人公・泰良には繰り返し喧嘩するイメージがはじめからありました。きっかけは喧嘩の取材にありましたが、事実そのままを脚本として書くつもりはありませんでした。ただ主人公の泰良に台詞で何を言わせても、どうにも違和感が生まれる。はたして、この男は一体何なのかということで脚本と向き合っていたように思います。

それで脚本を書き始めた時から、柳楽優弥くんの名前をあげていました。彼の目に明らかに野心があって俳優としての威厳もあった。その頃はお会いしてなかったので、若さゆえの危うさもあるだろうということも含めて、柳楽優弥以外に考えられませんでした。限られた時間の中でお互い「泰良とは何か」と言葉を尽くしたものの、理解したからといって体現できるものではなく、演じる本人は相当なプレッシャーだったと思います。松山の路上ではじめの喧嘩を撮った時に、「こういうことだね」と通じ合えたことは大きかった。結局のところ、僕はこの映画を通して「泰良とは何か?」を探していたように思います。

もしかしたらこの映画をみて、暴力を肯定していると勘違いされるかもしれません。泰良の台詞は最小限まで削ぎ落として、数少ない言葉の中で核になるのが「楽しければええけん」。この言葉に違和感を抱く人も多いかもしれませんが、僕も取材で耳にしたその言葉に違和感を覚えたからこそ映画を撮りました。たとえば暴力行為をみて、嫌悪感とともに高揚感を抱くのも事実で、この罪深い感触と向き合いたいと思いました」

真利子哲也監督

真利子哲也(まりこ・てつや)プロフィル

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1981年、東京都生まれ。法政大学在学中に8mmフィルムで自主制作した短篇『極東のマンション』『マリコ三十騎』が、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭で2年連続のグランプリ受賞など国内外で注目を浴びる。
東京芸術大学大学院の修了作品『イエローキッド』は各国の映画祭で高い評価を受け、学生映画として異例の劇場公開に。続く『NINIFUNI』は、42分の中編ながらロカルノ国際映画祭で特別作品に選出され各地から反響を呼び、劇場公開となる。マレーシアにて撮影を敢行したオムニバス映画の1編『FUN FAIR』、ドラマやMVなど活動を広げる。『ディストラクション・ベイビーズ』で満を持してメジャーデビュー。

映画『ディストラクション・ベイビーズ』(東京テアトル配給)は2016年5月21日[土]よりテアトル新宿ほか全国公開

映画『ディストラクション・ベイビーズ』作品情報・予告編
公式サイト distraction-babies.com
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