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<柳楽優弥>映画『ディストラクション・ベイビーズ』は心から胸を張れる大切な一本

柳楽優弥(芦原泰良役)、映画『ディストラクション・ベイビーズ』(真利子哲也監督)

©2016「ディストラクション・ベイビーズ」製作委員会

坊主頭の柳楽優弥、映画『ディストラクション・ベイビーズ』(真利子哲也監督)より
©2016「ディストラクション・ベイビーズ」製作委員会
[シネママニエラ]俳優の柳楽優弥は主演映画『ディストラクション・ベイビーズ』で、自身の生まれ月でもあるラッキーナンバーにちなんで3ミリのバリカンを当て、決意表明の坊主姿も披露。このほど柳楽が同作を振り返った。

「真利子哲也監督が、僕が主演した舞台『金閣寺』(2014年赤坂ACTシアターにて)を観に来てくれたんです。事前に「インディーズ映画界の巨匠だ」って聞いていたんですけど(笑)、楽屋に現れた監督は穏やかだし、まだ若くて青年っぽい感じで。でも腰を痛めたらしく杖をついていて、スキンヘッド。その初対面の印象が面白すぎて。風貌や佇まいから才能のオーラがにじみ出まくっていましたね。それからしばらくして、脚本をいただきました。当初は『喧嘩のすべて』ってタイトルでした。暴力性の中に強い主張があって、熱い衝動のかたまりを思いっきり投げつけている。めっちゃ気合いの入ったオリジナル脚本で、読んでいて楽しかったです。

脚本だと泰良の台詞はほとんどが「……」で、ト書きも「肩がぶつかる」の次に「血が飛び散る」みたいな(笑)。これはやってみないとわかんないなって。最初の脚本はもうちょっと台詞があったのかな。そこからさらに減ったけど、「それ、いいな」と思いました。言葉で説明されない役。行動としては常に喧嘩ばかりしているし、芝居は表情とかを大事にしなきゃいけないなって。

やっていることはムチャクチャだし、結果的に少年犯罪にまで暴走するけど、演じるうえで倫理的なことはあえて意識しないようにしました。意識したら、変に「利口な映画」になりそうな気がして。泰良は生まれついての純粋なアウトロー。それで腹括りました。泰良の行動原理を監督に訊いても「楽しければええけん」ってことしか言わない(笑)。だから「楽しければええけん」でやり通そうって。当初よりユーモアを足そうってことは監督と相談して決めましたね。

舞台の松山には行ったことがなかったんですけど、強烈な場所ですね。海と山。空気を胸いっぱいに吸い込むだけで、土地の魅力に持っていかれるものがあって。撮影は順撮りだったんで嬉しかったです。事前の用意は体力だけですね。喧嘩シーンは想像以上にハードでしたよ。リハーサルもしっかりやったし、撮影前は相手の役者さんと握手して「よろしくお願いします」って。ケガには充分注意していますけど、毎回、真剣試合みたいにガチでした。

それを真利子監督は、なるだけワンショットで撮ろうとするんですよ。もちろん絶対妥協しないので、数回のテイクでも相当キツい。ちなみに泰良は喧嘩を重ねるたびに戦闘能力が上がっている設定で、喧嘩には同じ型を絶対に二度と使っていないんです。撮影でずっと喧嘩しているから、気持ちはずっと高揚していました。だんだん僕もノリノリになっちゃって、最後のシーンは「髪切っちゃいますか」って自分から言って。三月生まれなんで、ラッキーナンバーにちなんで3ミリのバリカンを当てました(笑)。そうやってモノづくりを「遊べてた」んですね。それは真利子監督が作り上げていた空気が大きい。血まみれの殺伐としたシーンばかりだけど楽しく撮りました(笑)。

(完成した映画は)最高じゃないですか。音楽も最高。とんでもないパワーがみなぎっている映画だし、「自由」ですよね。映画自体が自由。説明的な映画じゃないし、意味わかんないところもある。でもわかんないところがあったほうが、「少しは考えるだろ、人間」みたいな。どこか不器用なところも魅力的だし。よく「映画は監督のものだ」とか言うじゃないですか。これは本当に「あっ、そうなんだな」って感じちゃいました。そこに自分が俳優部として参加できたのは誇りです。心から胸を張れる大切な一本になりました」

同作は5月21日[土]より全国18館で公開され、週末の2日間で全国動員6,310名、興行収入9,818,300円を記録。メイン館のテアトル新宿は、初日レイトショー含む5回上映の全てが立ち見・全回満席札止めとなる大ヒットスタートを切っている。

柳楽優弥(やぎら・ゆうや)プロフィル

1990年3月26日生まれ、東京出身。是枝裕和監督の映画『誰も知らない』で第57回カンヌ国際映画祭最優秀男優賞を日本史上最年少で受賞。『星になった少年』(河毛俊作監督)、『シュガー&スパイス~風味絶佳~』(中江功監督)、『包帯クラブ』(堤 幸彦監督)、『許されざる者』(李 相日監督)など名監督の作品への出演を重ねる。蜷川幸雄演出の舞台「海辺のカフカ」、宮本亜門演出の舞台「金閣寺」で主演を務めて活躍の場を広げる。
近年の出演作は『クローズEXPLOSE』(豊田利晃監督)、『闇金ウシジマくんPart2』(山口雅俊監督)、『最後の命』(松本准平監督)、『合葬』(小林達夫監督)、『ピンクとグレー』(行定勲監督)、『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』(福田雄一監督)、テレビは「まっしろ」(TBS)、連続テレビ小説「まれ」(NHK)など。

映画『ディストラクション・ベイビーズ』(東京テアトル配給)は2016年5月21日[土]よりテアトル新宿ほか全国公開
公式サイト http://distraction-babies.com/

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