[シネママニエラ]韓国の俳優ファン・ジョンミンが主演映画『ヒマラヤ~地上8,000メートルの絆~』についてインタビューに応じた。本作は実話をベースに、アジア初ヒマラヤ8,000メートル級高峰14座の登頂に成功した、実在の登山家オム・ホンギル率いる「ヒューマン遠征隊」がエベレストで死んだ仲間の亡骸を探すために行った過酷な遠征を描く。俳優たちは、減圧トレーニング、岩壁、氷壁の登攀まで登山家さながらの撮影準備訓練を行い、臨場感溢れるリアルな映像を作り上げるためヒマラヤ、モンブランでの危険な撮影に臨んだという。
映画『ヒマラヤ~地上8,000メートルの絆~』作品情報・予告編
「韓国の山岳映画は、ほとんどないじゃないですか?だからこそ、この映画が気になりました。また、『ダンシング・クイーン』という作品を通してイ・ソクフン監督とご一緒したこともありましたし、『ヒマラヤ』のスタッフの中にも以前にご一緒した方がたくさんいました。だから、同じメンバーで別の映画を作るということにわくわくしました。でも、実際に撮影に入ると、本当に大変で…。実際に8,000mまでは登りませんでしたが、8,000mに登っていくのと同じくらいの難しさがありました。山岳映画というものは簡単ではない挑戦だったと思いますし、反省もたくさんしました。みんな、‘辛い’と言っていますが、本当にそのくらいつらかったと思います。体力がありそうにみられがちですが、特別なことはしていません。皮膚が赤くなっているのも、これ、全部力なんです(笑)。
3日かけて登らないと到着しない撮影現場に向かいながら、写真でしか見たことが無い風景と雪を見ることが出来ました。自然の前では、人間がどれほど小さな存在なのかを感じました。実際に、ヒマラヤ12座まで登頂された方々に、“一体どうして、こんな大変な山に登るんですか?”とお伺いしましたが“ただ好きだから”という答えが返ってきました。その答えを聞いて“なぜ俳優をやるんですか?”という質問の答えと同じだと思いました。俳優という職業が大好きなためこうやって続けているのと同じ感覚だと感じました。
最初はどのくらい大変なのか分かりませんでした。俳優、スタッフ、全員が山岳映画というジャンルに初めて挑戦したので、参考にするものがありませんでした。例えば、アクションや、ラブストーリーなどはモニターを通してどのシーンが最も良いか判断材料がありますが、今回は山が舞台となっていてそのような資料がなかったのが大変でした。
そして、私だけが大変だったのではなく、みんなが大変でした。どんな映画を撮影するときも、たくさんの方に力を借りていましたが、『ヒマラヤ』の場合、力になってもらえることがありませんでした。例えば、山に登っていく間、一般のスタッフの方も自身の生存をかけていました。私たち、俳優たちは本人の荷物だけを持っていけばよいですが、スタッフの方々は、重い荷物も持っていかなければならないので、もっと苦労されました。そのようなことに対しての感情が、最後の撮影の時に溢れていました。少しでも緊張を緩めてしまったら大きな事故が起こるかもしれないという状況が多かったのにも関わらず、事故もなく、終わることができたことに本当に感謝します。
(実在の人物を演じるにあたり)、私は生きていらっしゃる方=オム・ホンギル隊長を演じるというプレッシャーがありました。単純にマネだけすればよいというわけにはいかないので。実際にお会いして、お話もたくさんしましたが、経験的な部分は、オム・ホンル隊長という役を演じるにあたって、大きい部分を占めていませんでした。一番大切なことは、オム・ホンギル隊長の山に対する態度、人への接し方や精神の部分でしょうか。現場では先輩として、ヒョン(兄の総称)として主人公として、非常に寂しいという思いが強くなりました。以前は、スタッフたちと共に笑い、しゃべりながら、楽しく過ごしていた時間が多かったですが、いつからか、みなさんが私に気を使って接するようになりました。自分が近づいて行こうとすればするほど、スタッフたちの緊張感を感じました。仕方がないことかと思いますが、そのような度に、感じた寂しさは、オム・ホンギル隊長が山でリーダーとして、ひとりで背負わなければならなかった感情と近いのではないかと思いました」
映画『ヒマラヤ~地上8,000メートルの絆~』(CJ Entertainment Japan)は2016年7月30日[土]よりヒューマントラストシネマ有楽町、シネマート新宿ほか全国順次公開
公式サイト http://himalayas-movie.jp/