[シネママニエラ]世界三大映画祭のひとつヴェネツィア国際映画祭は第73回目を迎え9月10日(現地時間)クロージング・セレモニーで、フィリピンの気鋭ラヴ・ディアス監督の『ザ・ウーマン・フー・レフト(英題:去りゆく女の意)』に、最高賞である金獅子賞( Leone d’Oro )を授与して閉幕した。
コンペティション部門審査は、審査員長の映画監督サム・メンデスを筆頭に、ローリー・アンダーソン(音楽家)、ジェマ・アータートン(女優)、ジャンカルロ・デ・カタルド(脚本家)、ニーナ・ホス(女優)、キアラ・マストロヤンニ(女優)、ジョシュア・オッペンハイマー(監督)、ベネズエラのロレンソ・ビガス(監督)、ヴィッキー・チャオ(女優)の9名が担当。
ヴェネツィアは歴史はあるものの、かたちにはとらわれない場であることが伺える。特に後述するオリゾンティ部門はその傾向が顕著に表れる。
第73回ヴェネツィア国際映画祭 受賞結果
ラヴ・ディアス『ザ・ウーマン・フー・レフト/ The Woman Who Left (英題)』
アマト・エスカランテ『ラ・レヒオン・サルヴァヘ/ La Region Salvaje (原題)』
アンドレイ・コンチャロフスキー『パラダイス/ Paradise (英題)』
トム・フォード『ノクターナル・アニマルズ/ Nocturnal Animals (原題)』
ノア・オッペンハイム『ジャッキー/ Jackie (原題)』
エマ・ストーン『ラ・ラ・ランド/ La La Land (原題)』
オスカル・マルティネス『ザ・ディスティングィッシュット・シチズン/ The Distinguished Citizen (英題)』
アナ・リリー・アミールポアー『ザ・バッド・バッチ/ The Bad Batch (原題)』
ポーラ・ビール『フランツ/ Frantz (原題)』
イエジー・スコリモフスキ[ Jerzy Skolimowski ]
ジャン=ポール・ベルモンド[ Jean-Paul Belmondo ]
こちらは速報です。写真は数日内(※月内)に追加します。
第73回ヴェネツィア国際映画祭 2016年8月31日~9月10日(現地時間)
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ラヴ・ディアス『ザ・ウーマン・フー・レフト/ The Woman Who Left (英題)』
セレモニーの進行役は女優のソニア・ベルガマスコ。ラヴ・ディアス監督は受賞は予想外だった様子。英語で感謝のスピーチをし壇上から会場にいる関係者に起立を促した。髪型が獅子のようだとプレゼンターに指摘され、苦笑いを浮かべる一幕も。そのため、スピーチでも「まさかの受賞で、こんな髪型で」と自虐気味な発言も。
アマト・エスカランテ『ラ・レヒオン・サルヴァヘ/ La Region Salvaje (原題)』
アンドレイ・コンチャロフスキー『パラダイス/ Paradise (英題)』
異例の2名受賞となった。最初に名を呼ばれたエスカランテ監督、そしてキャリアの長いコンチャロフスキー監督(実弟は映画監督のニキータ・ミハルコフ)の順。どちらがスピーチをするのか戸惑う瞬間もあったものの、コンチャロフスキー監督がエスカランテ監督をお先にと促す。それでも、モゾモゾしてしまうのはエスカランテ監督がメキシコのご出身ゆえか(?)。仲良くフォトコールに応じる姿は微笑ましかった。
トム・フォード『ノクターナル・アニマルズ/ Nocturnal Animals (原題)』
ワオ・・・と絶句。会場を見渡したのちに、すべてイタリア語で感謝のスピーチを行った。アメリカ合衆国・テキサス州出身で母国語は英語だが、ファッションデザイナーとしてイタリア語を使う機会もあったのだろうか。発音がチャーミングだったことから、イタリア女性から好反応が見受けられた。これはアメリカ人女性がイギリス人男性の英語の発音をキュートという感覚に近いと見受けたが。
ノア・オッペンハイム『ジャッキー/ Jackie (原題)』
星取表では評価の高かった本作。金獅子賞候補かと思いきや。でも、脚本賞という位置づけは、サム・メンデス監督さすが!
ノア・オッペンハイムはスピーチの際に。やや瞳を潤ませており、受賞の感動が伝わってくるものだった。
エマ・ストーン『ラ・ラ・ランド/ La La Land (原題)』
既にエマは帰国しているようで、ビデオメッセージが寄せられた。イタリアでの歓迎に心から感謝していること、とても感動したので再訪したい。世界でも大好きな国になった、と話す。もちろん感謝の言葉もありました。映画会社ライオンズゲートの方が代理受領されました。
オスカル・マルティネス『ザ・ディスティングィッシュット・シチズン/ The Distinguished Citizen (英題)』
アナ・リリー・アミールポアー『ザ・バッド・バッチ/ The Bad Batch (原題)』
レッドカーペットでは野球帽を手放さず、それはフォトコールでも死守していました。このセレモニーには野球帽はかぶっていなかったものの黒と深紅のレザーのジャケットに白のホットパンツ(短パン)の組み合わせで登場。着席後は手すりに器用にライオンくんを乗せており、手元の携帯にはじゃんじゃん祝福メッセージが届いているようで、その対応に追われている姿も。
ポーラ・ビール『フランツ/ Frantz (原題)』
フランソワ・オゾン監督が、エルンスト・ルビッチ監督『私の殺した男』をリメイク。ポーラ・ビールは初めての映画出演だったこなどを英語でスピーチ。が、感極まり過ぎて言葉にならない=音は発しているけど単語になっていないことも多々あり、女性陣からはその初々しさで共感を得た様子。これだけ感激してもらえると選者もうれしいはず。
イエジー・スコリモフスキ[ Jerzy Skolimowski ]
ジャン=ポール・ベルモンド[ Jean-Paul Belmondo ]