俳優の生田斗真と桐谷健太、柿原りんか、荻上直子監督が、世界三大映画祭(ベルリン、カンヌ、ヴェネツィア)の一つであるベルリン国際映画祭に初参加した。映画『彼らが本気で編むときは、』のメガホンを執った荻上監督は、映画『レンタネコ』以来、5年ぶり4度目のベルリン国際映画祭正式出品となり感慨深い様子で笑顔を見せた。
舞台挨拶の前に実施された公式記者会見では、多くの海外メディアから眩いばかりのフラッシュと質問が殺到する中、荻上監督が「この映画のきっかけは、2年前に新聞に掲載されていた、『トランスジェンダーの息子に、“ニセ乳” を編んで与えたお母さん』という内容の記事を読んだこと」だと流暢な英語で話した。
本作について、同映画祭プログラミングディレクターは、「この作品はトランスジェンダーがどうというより、女性になるということはどういうことか。そして家族になることをテーマにした映画です」と話すと、荻上監督も「トランスジェンダーでもなんでも隣人になれるし、家族になれると思っています」と作品のテーマを説明。
脚本に対して質問が及ぶと、生田は「読んでとても興味をひかれた。色々な要素が詰まっていて、りんかちゃんや桐谷さんに支えられて、とても楽しかった。この脚本と出会えて、とても嬉しかったです」と答えた。記者から「女性を演じるのは難しかったですか?」との質問には、「女性を演じることは経験してこなかったことです。仕草や声の一つ一つにこだわり、女性の魂を自身に込める必要がありました。桐谷さんやりんかちゃんにとても助けられました。二人がいたから、真のリンコになれました」と回答。
リンコを心の底から支えるマキオを演じた桐谷は「リンコは自身が思っていることを表に出す女性。マキオは、リンコと出会って世界が一変したのです。彼女を愛し、彼女と一緒に居たい、という気持ちを持っている。その気持ちは僕にもよくわかります」と自身が演じたキャラクターを演じる上で自身を投影したことを語りました。
母親に置き去りにされ、叔父であるマキオの家でリンコに出会うトモを演じた柿原りんかは、「オーディションを受けた200人の中で一番良かった」と荻上監督に絶賛されるほどの逸材。「オーディションでの合格が決まったその日から、撮影が始まるのがすごく楽しみだった」と語っており、本作でも堂々たる演技を見せている。
その後のプレミア上映では、世界中から集まった観客で800席のシートは満席に! 上映前に行われた舞台挨拶では、まずはプログラミングディレクターから「素晴らしい作品をパノラマ部門に招待することができました」と観客に挨拶した後、荻上監督、生田、桐谷、柿原を舞台に呼び込んだ。場内は割れんばかりの盛大な拍手が沸き起こり、偶然にも今日が誕生日の荻上に対し、「また彼女がこの映画祭に来てくれて光栄です。しかも誕生日というおめでたい日に!」とディレクターが祝福。「今日はご来場ありがとうございます。またこの映画祭に参加できて、私のことを受け入れてくれて、とても嬉しいです」と監督は英語で挨拶。続いて、生田は「皆さま、こんばんは。この作品でリンコ役を演じました、生田斗真です。67回を迎えるこの映画祭に呼んでいただいて本当に光栄です。今日は楽しんでいってください。ありがとうございます」と、やはり英語で挨拶。
こうして二人が英語で挨拶する中、次にマイクを持った桐谷は、一歩前に出て、観客に投げキスを披露。会場が声援で答える中、「こんばんは、桐谷健太です。皆さんが英語で挨拶をしているので、僕は日本語で話します!」と大きな声で宣言すると、万国共通のその親しみやすいキャラクターに、会場は大きな盛り上がりに。「みなさんの前に立てて本当に嬉しいです。最高の作品となりましたので、今日は楽しんでください」とさらに盛り立てました。最後の挨拶となった柿原は、「こんばんは、柿原りんかです。12歳です。ベルリン映画祭に来れてとても嬉しいです」とドイツ語で挨拶をし、観客から大きな拍手が巻き起こると、本人が一番驚いた表情を見せていました。
上映後、本作に魅了された観客は総立ち。8分間のスタンディングオベーションが巻き起こり、4人は大興奮の観客に万感の表情で感謝の礼を示しながら、会場を後にした。
映画『彼らが本気で編むときは、』(スールキートス配給)は2017年2月25日[土]より全国公開
彼らが本気で編むときは、作品情報
荻上直子監督『彼らが本気で編むときは、』LGBT最高峰 TEDDY Special Jury Award 受賞
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映画『彼らが本気で編むときは、』公式サイト
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