ジャスティン・ティンバーレイクが『トロールズ(原題)』の楽曲”Can’t Stop the Feeling”をオープニングアクトとして、客席よりダンサーを従えて入場。冒頭からセレブのノリノリダンス姿で幕開けとなった。
そして司会のジミー・キンメルの大統領イジりと仲良しマットデイモンをイジる話芸で進行し、助演男優賞として『ムーンライト』のマハーシャラ・アリが選ばれた。「祖母が見ていたら、身なりをきちんとと言われるだろうから(と言いながら、ジャケットのボタンをとめる)」。そして感謝の言葉を述べると高々とオスカー像を掲げた。
助演女優賞を『フェンス』のヴィオラ・デイヴィスが受賞したことで10年ぶりの黒人俳優W受賞に。ヴィオラ・デイヴィスのスピーチが感動的で思わず涙するセレブの姿も。「ストーリーがあるのはどこ?」「それは墓場」。墓場に眠る方々の数だけ人生の物語があるといった内容で、アカデミー賞には人種の壁は存在しないことアピール。司会者も年齢と体重制限だけ、と後押しするなど、世相を意識した発言が多かった。
主演男優賞のケイシー・アフレック『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の受賞には、実兄ベンが涙目になっていたのが印象的。同作のプロデューサーであるマット・デイモンはベンとは真逆で嬉しすぎてニタニタ笑い。アフレック兄弟のいるところ、マット・デイモンのサポートありといった感じでしょうか。
主演女優賞はエマ・ストーン。昨年の『バードマン』でも実力を見せつけてくれた彼女。『ラ・ラ・ランド』ではヴェネツィア国際映画祭でも女優賞に輝いています。
前代未聞のハプニングは作品賞。『ラ・ラ・ランド』ご一行が大喜びでスピーチをするなかで、スタッフから手違いで主演女優賞の封筒が、プレゼンターに手渡されたことが発覚。ジョーダン・ホロヴィッツ氏が「冗談ではなくて『ムーンライト』なんだ」と必至に説明。プレゼンターの一人ウォーレン・ベイティも、開封から読み上げに時間がかかった訳を「封筒を開けたらエマ・ストーン『ラ・ラ・ランド』と書かれていた」と語る一幕も。ベイティがもう一人のプレゼンターであるフェイ・ダナウェイに何かを訴えるように目配せするも、ダナウェイさんは意に介さなかったのかサラリと読み上げた。
『ラ・ラ・ランド』プロデューサーの一人、ジョーダン・ホロウィッツ氏はカメラに向かって、実は作品賞に選ばれたのは「ムーンライト」なんだとアピール。それまで喜びのコメントを語っていたにも関わらず、即座に対応するこの切替が素晴らしい。
にしても、主演女優賞の封筒ってエマ・ストーン本人が持っていたんじゃないの? もしかして予備が?アカデミー賞事務局(厳密には運営を管理している会社PRICEWATERHOUSECOOPERS)から本件に関する謝罪メールが着ました。そのなかには原因を究明すると書かれています。バックヤードで何があったのか、そのうちニュースになるでしょうね。そりゃあ、あのニコール・キッドマンが驚き顔しちゃうわけです。
おふざけは、セレブへの悪口を基にした特製動画。それと観光客をサプライズで会場に迎えたことでしょうか。あとは大統領のTwitterに“起きてる?”、“過大評価された女優が何か言ってるよ”等のメッセージをしたこと。
パフォーマンスは前述のジャスティン・ティンバーレイクだけでなく追悼ライヴ、それに『モアナと伝説の海』の主題歌パフォーマンスが。特筆すべきは『ラ・ラ・ランド』の楽曲を、アーティストであり同作に俳優として出演しているジョン・レジェンドが演奏と歌唱したこと。同曲の素晴らしさを改めて認識しました。