京田知己総監督が9月8日、劇場3部作『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』の第一章『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション 1』について裏話を含めて語った。進行はアニメ評論家の藤津亮太氏。※PCよりご覧いただきますとメッセージ形式でお読みいただけます。
2005年4月よりテレビ放送され大ヒットを記録した伝説のアニメで、英雄アドロックを父に持つ主人公レントンが、鬱屈な日々をおくる中、ヒロイン・エウレカと出会い、世界を知る旅に出る様が描かれた。本作は新たに描かれるレントンとエウレカの物語。
<レントンがメインで話が進行していきますが、14歳のレントンは自分の感覚などを反映したりしていますか?>
基本的には距離があるんです。自分自身をレントンに反映してるつもりは無いのですが、無意識に反映している部分もあるかもしれませんね。テレビシリーズは特にそういう意識はなかったです。でも今回、特にチャールズとのやり取りの部分などは『自分が中学生だったらこう反応するだろな』という部分も入れたりしています。
<一見、一部テレビシリーズの編集版のように見えるところもありますが、実はすごく細かい部分が進化しているんですよね?>
テレビシリーズの素材が残っていなかったので、当時の素材を使う際には台詞を変えたり、背景を書き換えたりなど細かい部分を 変更していたんですが、せっかくなら、ということで、目線の動きなどの細かい演出にもかなりこだわっています。
<では今回のレントン像はかなり新しいものになっているということでしょうか?>
そうですね、というより、“今の自分たち”からみた“過去の自分たち”という部分もあると思います。
<レントンに対してはどんな思いで接していますか?>
今回は“自分のこども”に近いと思います。もうこの年齢で今さら中学生のメンタルになって、というのは難しいと思うんです。なので企画が立ち上がった時に(佐藤)大さんたちとも『ぼくらはもうレントンにはなれないね』って話をしていたんです。レントンを観察すると いう感覚が正しいのかは分からないんですが…。
<そういう意味では今回のレイとチャールズは“観察する”という枠組みを担っていた気がします>
そうですね。それが今回一番大きい部分だとおもいます。実は今回一番難しかった部分でもあります。青野さんの演じない、アクセル・サーストンは観たくない…というスタッフの想いもあり、話の構造を考えたとき、レイとチャールズをちゃんと“親”にしようと思いました。もともといなくなった父親と自分、という話だったので、その話の筋を通していくようにしました。
<今回、レントンの父、アドロックを古谷徹さんがやられていますが、なぜ古谷さんを起用したんですか?>
キャラの設定だけを観ると、しぶいおじさんですけど、ただしぶいおじさんにはしたくなかったです。アドロックというキャラクターを考えていくと、実はすごく繊細でロマンチストだなあ、と。じゃなきゃあんなめちゃくちゃな作戦立てないし、“サマー・オブ・ラブ”なんてつけないですよね(笑)ロマンティックで、ナイーブだと考えてみると単純にしぶい声ではないだろうな、と思ったんです。そういう彼の要素が声で分かるようにしたかった。ただ弱いのではなくいろんなものを背負って物事を解決すれば、ある種主人公にもなりえるような存在感があるひとと考えると古谷さんの声しか聞こえてこなかったんです。以前映画の仕事でご一緒した時にも、本当にプロフェッショナルな芝居をする方だったので、いつか一緒にできたらと思っていました。
<エウレカというキャラクターはシリーズ全体を通してどのように描こうと思っていますか?>
テレビシリーズではヒロインでもただのヒロインにはしたくなかったんです。ただ男の子と出会って恋に落ちて、終わり、にはしたくなかった。なので、エウレカに対しては試練をどんどん与えているんですけど、やっぱりどんどん課題を与えることに臆病になっていますね。昔なら作品のためだ!と割り切れたんですが、年をとってくると、本当にこんなにつらい目にあわせていいんだろうか、と、作品的にはそれが正しくても悩んでしまいますね。
<吉田健一大さんに聞くとエウレカを娘のように想っていますよね(笑)。京田さんはいかがですか?>
エウレカは娘というより、こうあってほしいという願望をつめたもの。いろいろ課題を与えすぎて、もう与えるものはないのかな、とも思うんですけど(笑)。こういう女の子になってほしい、というより、人として、こういう強い生き様を持って生きてほしいという気持ちです。
<最後にメッセージをお願いいたします>
今回本当に、沢山の人に協力していただき、奇跡が沢山起きたおかげでこの作品が成り立っています。そして、それは12年間 このエウレカを好きでいてくださった皆さんのおかげだと思いっています。そんな皆さんに恩返しをしなければという思いでつくりました。12年前よりもっといいものができたと思っています。3部作なので、あと2年くらいお付き合いいただけますと幸いです。
総監督:京田知己
脚本:佐藤大 キャラクターデザイン:吉田健一 アニメーション制作:ボンズ
レントン:三瓶由布子 エウレカ:名塚佳織 デューイ:辻谷耕史 ホランド:森川智之 タルホ:根谷美智子 チャールズ:小杉十郎太 レイ:久川 綾 / アドロック:古谷 徹
映画『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』予告編
©2017 BONES/Project EUREKA MOVIE
映画『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』(ショウゲート=博報堂 DYMaP 配給)は2017年9月16日[土]より全国公開
映画『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』公式サイト
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