ギレルモ・デル・トロ来日!映画『シェイプ・オブ・ウォーター』語る
映画監督のギレルモ・デル・トロが来日し、アカデミー賞最多13部門にノミネートされている映画『シェイプ・オブ・ウォーター』について「映画に対する愛を込めた」などと語った。この日は、花束贈呈ゲストとして映画『パシフィック・リム』に出演した女優の菊地凛子が駆けつけた。
本作は監督のオリジナル作品で、アマゾンで川の神と崇められた生き物と政府機関にて清掃員をしている30代女性とのラブロマンス。監督によるとテーマは「アザーズ(異種)に対する恐れ」であり、あくまでも大人の寓話・お伽話として1962年のアメリカが偉大だった時代と同じように、人種問題、ジェンダー問題などを内包する現代の社会問題を背景としている。
ギレルモ・デル・トロ来日!映画『シェイプ・オブ・ウォーター』語る
登場人物には「それぞれのテーマカラーがある。とても緻密な計算をしています」。例えば「ヒロインのイザベラはブルー。彼女の部屋の壁紙は魚の鱗をベースとした柄になっています。その部分は葛飾北斎の浮世絵の鯉から。イザベラ以外は暖色系でゴールド、アンバー、オレンジを用いました。また寒色系の緑色は未来を意味し、赤は愛と映画の色にしています」。
配役についても語った。「サリー・ホーキンスは当て書き(特定の人物を想定して書くこと)です。香水・化粧品のコマーシャルに起用される若くて美しい女性ではなく、30代後半の女性。彼女はバスで隣の席に座っているような平凡な女性ですが、どこかにマジカルな輝きを持っているキャラクター」。「声を失い言葉を話せないヒロインとクリーチャーとの交流は、言葉を介していません。登場人物たちは賢そうに色々と話しますけれど、互いを理解し合えているのか。むしろ、ヒロインとクリーチャーの方が通じ合えているのです」
そんなクリーチャーを演じているダグ・ジョーンズは「世界を見ても稀有な俳優。彼は衣装スーツを身につけるだけで、そのもになりきってしまう」。「よく「優秀な俳優は台詞回しがうまい」と言われますけれども、「僕が考える素晴らしい俳優の要素は“瞳で語れる”こと。サリーもオクタヴィア(・スペンサー)もダグも、それぞれ瞳で奏でる音楽が異なります」と見解を述べた。
さらに、映像美が注目される本作。その素晴らしさを構成するのは各スタッフたち。「照明だけ良くてもダメです。衣装、セット、照明といったそれら全てが揃ってこそ」。それに「あの場所に棲んでいるように思えないと。おとぎ話が現実味を帯びていくために欠かせない。クリーチャーを置いて違和感を与えない世界観を一つ一つ作り上げていきました」と振り返った。
ということで「本作はラブソングのシンフォニーを奏でたかった」とまとめた。それは「ドライブ中にラブソングがかかって、気分が良くなって音量を上げて、一緒に歌ってしまう感覚といえば近いかな」と解説していた。
こちらの記事は速報です。後日、更新します。
映画『シェイプ・オブ・ウォーター』(20世紀フォックス映画 配給)は2018年3月1日[木]より全国公開
ギレルモ・デル・トロ Guillermo del Toro
プロフィル
1964年、メキシコ生まれ。短編映画やTVシリーズを経て、『クロノス』(93)で長編映画監督デビューを果たす。続いて、『ミミック』(97)、『デビルズ・バックボーン』(01)、『ブレイド2』(02)、『ヘルボーイ』(04)を手掛ける。
2006年、『パンズ・ラビリンス』がアカデミー賞(R)6部門にノミネートされ、撮影賞、美術賞、メイクアップ賞を受賞し、自身も脚本賞でノミネートされる。ゴールデングローブ賞外国語映画賞にもノミネートされ、監督、脚本家、プロデューサーとして国際的に絶賛され、唯一無比の世界観を作り出す映像作家として映画史にその名を刻む。その後、『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』(08)、『パシフィック・リム』(13)、『クリムゾン・ピーク』(15)を監督する。TVシリーズ「ストレイン」(14~17)では、脚本、監督、製作、原案を務める。また、ピーター・ジャクソン監督の『ホビット』三部作(12/13/14)の脚本を手掛ける。
映画『シェイプ・オブ・ウォーター』公式サイト www.foxmovies-jp.com/shapeofwater
映画『シェイプ・オブ・ウォーター/原題 The Shape of Water』
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