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藤竜也『東の狼』渾身のアドリブシーンを語る

俳優の藤竜也が主演映画『東の狼』初日舞台挨拶に出席し、一番苦労したシーンが本編でカットされたことや渾身のアドリブに言及した。

藤竜也

上映後のこのイベントには大西信満も参加し「簡単な撮影ではなかったので、無事に初日を迎えることができてよかった」と安堵の表情を見せた。この日はプロデューサーを務めた河瀨直美と監督のカルロス・M・キンテラによるコメント映像が届いた。

本作は、世界が注目する新鋭カルロス・M・キンテラ監督が孤高の老ハンターの執念を描く、至高の人間ドラマ。100年以上の間、東吉野村の森では狼が目撃されていない。それでも猟師会の会長を務める猟師アキラは狼の生存を信じ、皆の反対を押切り、取り憑かれたように狼狩りのため森の奥深くへと入って行く。

The Wolves of the East.
©Nara International Film Festival & Seven Sisters Films

藤は「(撮影)エピソード話すと2~3時間はかかる」と言いながらも、「カルロスさんも河瀨さんも“魂”という言葉を口にするのですが、この映画の感想を聞かれると、なんか“魂”なんです。カルロスにとって狼はただの生き物としての狼ではなく、カルロスが伝えたい意図を探ろうとした」と振り返った。

続けて、「ラストカットがかかった時に(あまりにも過酷な撮影だったので)カルロスを呼んで(エアボクシングの仕草を再現しつつ)エアで殴ったら、カルロスも「わかってるよ」って顔をして、最後は握手をしました」と撮了時の思い出を語った。

藤竜也と大西信満

即興性のある撮影について聞かれると、藤は「本当はヒロインがいて、(藤と大西の)三角関係がある予定が、いつの間にかなくなってしまった」と大幅な脚本変更が行われた裏話を明かす。さらに「一番苦労したシーンはカットされているんだよね」と悲しげな表情を見せると、会場からは笑いが起こり、大西も「本編の続きに、山の中に入っていろんなシーンをたくさん撮影しましたが全部なかったですね(笑)」というほろ苦い心境を吐露した。

映画『東の狼』初日舞台挨拶

また、観客からの質問コーナーで、こだわりシーンについて聞かれると、藤は「大西さんにいじめられたシーンの後はアドリブなのです。本当は寂しげにトラックが発進するだけでしたが、藤竜也としてもアキラとしても心がむしゃくしゃして、ギアをバックに入れてハンドルをめい一杯きってアクセル全開でガラガラと回ったら、監督も喜んじゃって」と笑顔で答え、大盛り上がりを見せた。

最後に藤は「この映画は決してわかりやすい映画ではないと思っていましたが、皆さんの温かい雰囲気で、「楽しんだ」と言ってくださって嬉しいです。ありがとうございます!」と締めくくった。

映画『東の狼』(HIGH BROW CINEMA 配給)は2018年2月3日[土]より新宿ピカデリーほか公開

映画『東の狼』公式サイト ldhpictures.co.jp/movie/higashinoookami/
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