役所広司をはじめ、松坂桃李、江口洋介、真木よう子、竹野内豊、石橋蓮司など豪華キャストの共演が話題の映画『孤狼の血』。5月12日に公開初日を迎え舞台挨拶が開催された。主演の役所は、女性観客が多かった為に「『孤狼の血』を観て牙を磨いてこいよ」と男たちに向けて映画鑑賞の誘い文句を提案していた。
ステージには役所をはじめ松坂桃李、江口洋介、真木よう子、ピエール瀧、中村倫也、音尾琢真、阿部純子、白石和彌監督、原作者の柚月裕子さんが揃った。いち早く観ようと駆け付けたファンで賑わい、客席からは割れんばかりの拍手が起こり、初日を迎えた本作への祝福モードに包まれながら温かい雰囲気の中で進行。制作発表から1年の時を経て公開になる本作の期待度の高さを伺えた。同日16時現在、興行収入20億円を見込める好スタートを切ったことが配給会社より発表された。
『凶悪』『彼女がその名を知らない鳥たち』といった傑作を続けて世に放つ白石監督が、柚月裕子の小説をもとに映画化した本作。広島を舞台に警察とヤクザの攻防が描かれていく骨太ドラマが見どころ。芸能生活40周年の記念すべき節目の年の主演作となった役所は「ギリギリ体力がもつかな、という作品に40年目で出会えました」と話す。
松坂は「30歳になる節目の年に、役所さんと共演できて、白石監督ともまたお仕事ができて、そしてそれがこの『孤狼の血』の作品で、忘れられないとても大切な作品です」と述べた。また、出演オファーの段階では「私はあまり面白いのかどうかわからない」と脚本を手渡してきたマネージャーが、(本作の)試写を観て「面白かったね!」という感想をこぼしたことに対して、「ほれ見たことか!」と監督、脚本、共演者全てにおいて断る理由がないとオファーを受けた本作への愛情をのぞかせた。
実は『仁義なき戦い』が大好きだという江口は、白石監督の作品の興味があったそうだ。「オファーをいただいて私物の『仁義なき戦い』のDVD-BOXなど掘り返して観ました。『凶悪』を観て“誰が撮っているんだ?”と白石監督の名前はインプットしていました。今やこういう映画は“時代劇”になるのかもしれないが、これがきっかけでヒリヒリする芝居ができる作品が増えれば良いと思います」
真木は「本編進むにつれて、このシーンがあるから真木よう子がキャスティングされたんだと思っていただけるはずです。梨子は着物を着ているので、着物での所作やドキッとさせる仕草を勉強しました」とふり返った。
そして、白石組の常連でもあるピエールは「いつも話題になる作品を撮っておられる監督だが、過激なシーンであればあるほど監督が一番笑っていらっしゃる。それを見て、僕は「鬼畜どんぐり」というあだ名をつけました」明かすと会場はどっと笑いが起きた。続けて「男のバイオレンスさを、どこか可愛らしく撮ってくださるのが監督の専売特許ですね」と監督の演出の絶妙さを称える。
また同じく何度か白石監督作品に出演経験のある中村は「やくざというのももちろんですが、世代は意識して演じました。先輩たちの年輪を重ねてきた熱さと、若い炎は色の熱も違うのかなと思いました」と役作りについて述べ、さらに「現場に行くと台本にないことを言われたり、先輩方が現場で楽しそうにされていたり、出てない役者さんに白石監督紹介してほしいと言われることもあり、役者を疼かせる監督です」監督の魅力を語った。
音尾は、「映画の中ではパンチパーマにサングラス、白いスーツと放送コードに引っかかる見た目で登場するのに、今日は普通の恰好ですみません」と観客を笑わせていた「鬼畜どんぐりに“音尾くんパンチパーマできる?”と言われて2時間以上かけてパンチパーマにしました。髪を2センチに切って、根元から撒くのが痛いんですよ」と特徴的な髪型についてのエピソードを披露。それを機に坊主俳優としてのポジションが開けたことを完成披露では語っていた。
原作には登場しないオリジナルキャラクターを演じた阿部は「大先輩方との共演でとても緊張しましたが、どうにかついていかなきゃと思っていました」と心情を吐露し、“雲の上の存在”だという役所との撮影時のエピソードを披露。「役所さんが『お弁当、美味しいね』と声をかけてくださったり、私の分まで台詞を覚えて呉弁の発音を教えてくださったり、居心地のよい撮影現場を作ってくださってありがたかったです」と感謝しきり。これに対して役所は「やるときはやるでしょ」茶目っ気を見せていた。
白石監督は「鬼畜どんぐりとかって言われていますが、皆さんに良い映画を届けようと身を削り頭をひねって考えた作品です」と熱意を語り、「多少目を覆いたくなるシーンもありますが、最初を乗り越えるとすーっと最後まで観れる、エンターテイメントになっております!」と作品についてコメント。
最後に役所が「白石監督のもとで、スタッフ、僕たちキャスト共にのびのびと楽しく撮影させていただきました。素晴らしい役者さんたちが、生き生きと演じた映画になっております。女性のお客様が多いので、是非男たちに『映画館にいけよ、牙を磨いてこいよ』と言ってくださいね」と、これから映画を観る観客に向けてアピールし盛大な拍手に包まれながらイベントは幕を閉じた。
【映画『孤狼の血』公開記念広島凱旋レッドカーペット】
東京での初日舞台挨拶後に、役所広司、松坂桃李、江口洋介、音尾琢真、阿部純子、白石和彌監督が広島を訪れ、さいねい龍二、沖原一生と合流し、街のど真ん中となる広島県広島市中区えびす通り商店街にてレッドカーペットを実施!
本作のロケ地である広島の地とあり、大盛り上がりを見せた。優先観覧エリアの招待者は、公開初日『孤狼の血』を鑑賞した、先着560(=コロウ)名の方々。
役所は「今フランスではカンヌ国際映画祭が行われていますが、そのレッドカーペットも、今日のレッドカーペットにはかなわないんじゃないでしょうか」とコメントし、会場を沸かせた。
映画『孤狼の血』(東映 配給)は2018年5月12日[土]より全国公開
©2018「孤狼の血」製作委員会
映画『孤狼の血』公式サイト
孤狼の血(役所広司主演×白石和彌監督) – 映画予告編
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