会見の前には、山下公園・氷川丸の前にて、フォトセッションを実施。突然の有名人の登場に公園内は騒然とし、足を止めて撮影を見学するサラリーマン、また生スターを目にした女子学生たちは、大はしゃぎをしていた。なおホテルはもちろんのこと、その周辺の街灯にも、このUW旗が掲揚されており、街全体が作品を応援していることが伺えた。
本作は、『なかよし』(講談社)に連載された後に書籍化された同名漫画を原作に、映画版では舞台と時代設定を翻案。爽やかなテイストで、親子2世代の青春を描いていく。そんな主人公の海と俊の恋模様は、「30歳の僕が観ても、恋が始まりそうなシーンにキュンキュンした」と、俊の声を務めた岡田が語るほど、胸をときめかす仕上がりに。また、海の声を務めた長澤も、「この時代に生きている人の一生懸命さや勢いが良くて、正直で素直な人たちがたくさん出てきて、心を動かされます」と作品の持つ魅力を述べた。
前作『ゲド戦記』で監督デビューを果たした宮崎監督は、父である宮崎駿より「2作目が勝負」だと告げられたようで、覚悟を持ち『コクリコ坂から』に臨んだという。「綱渡り状態でしたが、縁とか運とかに助けられた」と無事に完成した今ならではの心境を吐露。そもそも前作での経験が活かされたことは何一つなく、「本作で初めてスタート地点に立った気分」だと表現。なおかつ、駿監督が書いたシナリオはハードルが高く、「これまで(宮崎駿作品では)絶対にしたことがない表現方法」であったことを明かした。その結果として、「達成感とやり残した感がたくさんあります」とするも、「シナリオの中の海ちゃん=まさしくポスターの海ちゃんで、“理想”の女の子でした。けれども僕の海ちゃんは“いそう”な女の子。でも、僕に向いているのはこれ。普通の女の子が主人公の映画が作れれば」と、今後の抱負も語っていた。
気になるのは、作品を鑑賞し“宮崎駿”の下した評価。鈴木プロデューサー曰く、「まあ素直に『良かった』とは言わないと思っていましたよ。彼の第一声は『俺の作った俊は、あんな不器用な男じゃない! あれじゃあ、まるで吾朗だ』でしたね」というもの。そしてその際に、駿監督にはテレビ番組の密着がついており、吾朗監督に対し『もっと俺を脅(おびや)かしてみろ』とコメントしたことも、明らかに。スタジオジブリにおける、宮崎父子の新たなる挑戦が始まることを予感させていた。
なお、鈴木プロデューサーは、NGO「ピースウィンズ・ジャパン」の要請を受けて、本作を東日本大震災の被災地で上映したことを本会見で正式に発表した。
日本公開=2011年7月16日
配給=東宝
© 2011 高橋千鶴・佐山哲郎・GNDHDDT
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