同作は、浅田次郎の原作を映像化した歴史劇。GHQ最高司令官ダグラス・マッカーサーの(時価900億円/現在の200兆円相当とされる)財宝隠匿を密命された、帝国陸軍の少佐らと、その指揮下で作業に当たる教師と学徒動員の少女たちの姿を描く。映画『半落ち』『チルソクの夏』の監督が、手腕を発揮。敗戦時の日本の群像をフィクションで描くことで、現実と対比させて我々の感情に訴えかける。とても見応えのある作品。
本作のメガホンを執った佐々部監督は、「今、公開されることに誇りを持っています、(日本は大震災と原発事故に遭った今だからこそ)頑張るためのビタミン・栄養剤のような映画になれば。(本作の)脚本を書く際の決めごとは、映画『ひめゆりの塔』の悲劇を提示する映画にはしたくなかった。日本人がちゃんと立ちあがる様、今の日本人が受け止められる物語にすることが、浅田先生の原作に込められた想いだと思った」と真摯に語った。
そんな佐々部監督だが、軍人役の堺、福士、中村獅童の3人に敬礼するシーンでは、少女たちに『一番好きな役者を見つめるように演出していた』ことが露見、壇上の少女役に挙手による緊急アンケートが実施された。挙手前に、少女たちの顔を眺めてプレッシャーをかけたのは福士、これには会場からも笑いが。結果、最多8票を獲得した堺は、「さっき“ドラ焼き”を差し入れしたので…」と笑顔でコメント。そして6票獲得の福士は、安堵の表情を見せていた。なお、この日不在の中村は3票を獲得、現場でのお茶目なイタズラにギャップを感じたそうだ。
堺は「8月15日に今までのルールが全部崩れて、新ルールもなく見通しの悪い時代に、手さぐりで自分なりの考え方、行き方をする男という魅力ある人物」だと役柄を解釈したことに習って、自身が演じた教師役を「優しくてシリアスでクール」だと分析してみせた。
そしてムードメーカーであるユースケが「男っていうのは人生の中で、愛する者のため、自分の大切な者のために命を懸ける瞬間がある。現場では少女たちの純粋な笑顔に助けられました」と大真面目に語るも、会場からは戸惑いの空気が。「一生懸命答えたのに、僕のパブリック・イメージって……」と、うなだれ気味に。会場から期待のざわめきとクスクス笑いも。
そんな彼に追い打ちをかけるよう佐々部監督が、「現場でユースケが暴走しないよう気をつけていた」ことを明かすと、会場からは、待ってました!的な笑いが巻き起こった。
日本公開=2011年8月27日
配給=角川映画
公式サイト http://www.nichirin-movie.jp/
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