[シネママニエラ]映画『ツリー・オブ・ライフ』を観て困惑し、あらすじやストーリーを検索した人も少なくないのでは? “魂の傑作”と謳われる作品を観るには、魂で受けとめることも必要。そういった魂の映画を観る秘訣を映画『ノルウェイの森』のトラン・アン・ユン監督が教えてくれました。
第64回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した本作。テレンス・マリック監督にとって、1979年の第32回カンヌ映画祭で、映画『天国の日々』の監督賞受賞以来、実に32年ぶり。最高の栄誉に輝いた作品だけに、万人が受け入れやすい内容なのかと思いきや……。
映画『ツリー・オブ・ライフ』ストーリー
1950年代半ばの中央テキサスの小さな田舎町。幸せな結婚生活を送るオブライエン夫妻と、彼らの子供である3人の兄弟。父(ブラッド・ピット)は信仰に厚く、成功するためには“力”が必要だと考えている厳格な男。母(ジェシカ・チャステイン)は、自然を愛で、子供たちに対しては精いっぱいの愛情を注ぎこむ優しい女。だが、3人兄弟の長男ジャックの心は、そんな両親の狭間で常に葛藤していた。
大人になって“成功”したジャック(ショーン・ペン)は、深い喪失感の中、自分の人生や生き方の根源となった、テキサスの小さな街で家族とともに過ごした少年時代に想いを馳せる。「父さん、あの時の僕はあなたが嫌いだった」
トラン・アン・ユン監督は芸術の概念と目的について、こう語ります。
「芸術とは見る人の概念を覆すものであり、知性や感情に訴えかけるもの」なのだと。それに「己の感情を崩されると、人は再び感性を創りあげるようになる。その繰り返しが感性を磨き、そうすることで強い感性が築き上げられるのです」。そして、「芸術は、ある意味で残酷なもの」だと述べました。なおかつ、「もしも映画を観て、すぐに感想が出なくても、それでいいのです。その感情を自分の中で時間を掛けて熟成させていく。その感情も時(とき)がくれば、自ずと明らかになるのだから」と。
そんなトラン・アン・ユン監督は、テレンス・マリック監督の過去作『ニュー・ワールド』を今一度見直してほしいと強調しました。「あの作品の素晴らしさに気づかない人が多いけれど、映像と音楽がキャラクターの心情を見事に表現している“ジャスト”な作品だと思います。おそらく20年後も、この評価は変わらないでしょう」と、太鼓判。
観たその場で明確になる作品もあれば、各自の感性の強さにより熟成期間が必要な作品もある。映画『ツリー・オブ・ライフ』は、明らかに後者にあたる“魂の傑作”なのです。
以上、劇的3時間SHOW―5人の国際映画監督が語る/トラン・アン・ユン監督編 、そして、『ノルウェイの森』公開時に来日された監督と1時間以上に渡り対話させていただいた内容より。
原題=The Tree of Life
日本公開=2011年8月12日
配給=ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
公式サイト
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