[シネママニエラ]世界三大映画祭のひとつである、第68回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門に出品された映画『ヒミズ』で主人公・住田祐一を演じた染谷将太と、ヒロイン・茶沢景子を演じた二階堂ふみが、最優秀新人俳優賞にあたる「マルチェロ・マストロヤンニ賞」を受賞した。日本人初となる快挙となったため、9月11日、緊急記者会見を実施。受賞した染谷将太と二階堂ふみが喜びを語った。
染谷将太(以下、染谷):本当か?と疑いました。いまでもあまり実感がなくふわふわしているのですが、こうやって会見を開いていただいたりと、徐々に実感してきました。
二階堂ふみ(以下、二階堂):私は染谷くんからの電話で聞きました。まだ実感がありません。
染谷:自分の映画でスタンディング・オべーションを初体験したのですが、ヴェネチアの皆さんすごい拍手を送ってくださって、劇中のセリフ「がんばれ住田!」をイタリアの方々から日本語で声をかけてもらったのが印象的でした。
二階堂:拍手がなかなか止まらなくて、すごくうるうるきてしまったんですけれど、海外の方にこの映画を見ていただいたことがすごく嬉しかったし、「がんばれ!」っていうのを私たちに対してだけでなく、日本に対して言ってくれているような気がしました。
染谷:園さんの映画がずっと好きで、園さんがヒミズを撮ると聞いて、園さんとお仕事をしたことがなかったので、これはぜひやりたいと思いました。オーディションで役をもらうことができましたが、園さんと、自分の演じる住田と、どう対峙していったらいいのか迷いました。現場に入ったら園さん、二階堂さんはじめ他の出演者のみなさん、スタッフのみなさんと一丸となって突き進むことができました。漫画は漫画で絵がすごく力があり、これを生身の人間、しかも自分が演じるとなったらどうなんだろうと思いましたが、映画は映画らしい表現ができていると思います。
二階堂:私もオーディションを受けました。古谷先生の漫画がすごく好きで、園さんもすごく好きだったので、ぜひやりたいと思いました。オーディションの前に脚本を読んだのですが、漫画とはまた別の匂いや力強さが伝わってきて、やりたい気持ちが強すぎで、緊張しました。怖さがあったり、自分がどうやって茶沢の役に入っていくのか、未知の世界だったのでそこに対して不安がありました。現場に入る前にいろいろ準備していったのですが、現場はとても楽しかったです。
日本公開=2012年春
配給=ギャガ
©「ヒミズ」フィルムパートナーズ
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染谷:被災地での撮影は最終日でした。それまでに芝居の中で震災に触れたものもあったのですが、被災地は実際はどうなっているのだろうと思っていました。実際に行ってみたら、まずは言葉が出なかったです。スタッフもみな同じで、空っぽというか頭の中が真っ白になりました。今、撮影現場だった場所はずいぶん片付けられているそうなのですが、園さんがあのとき決意していなかったらあの絵はとれなかったし、海外の映画祭にあの風景を持っていけることもなかったんだと思います。
二階堂:私は現場に行っていないのですが、染谷くんやほかのスタッフに聞いても「どうだった?」と聞いても言葉が出てこないんですね。言葉がでてこないくらいすごいものだったのだろうなと思います。仕上がった作品をスクリーンで見るとTVでみる被災地とはまたまったく違って、私もその場所に行っていたら言葉を失っていたんだろうなと思います。今日が震災からちょうど半年で、わたしはこの賞は私たちに対してというだけではなく、震災をうけて、これから立ちあがっていく日本の若い人たちへの「がんばれ」という想いがあるのではないかなと思いました。
染谷:ラストにはこの映画なりの希望が待っているのですが、観ていただいた方次第です。でも僕らは撮影中、すごく前向きにあのラストシーンに挑んでいました。どのようにとらえられるかは自由だと思うのですが、前向きにとらえてほしいと思っています。
二階堂:そのまんまの自分で、素直に感じ取ってほしいです。良いか悪いかではなく、とても魂のこもった作品だと思うので、観てくれた人にその魂をぶつけられたらいいなと思います。
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未来を失くした少年と、愛にすがりつく少女。孤独を共鳴させながら、狂った世界を掘り進む―。
住田祐一(染谷将太)、15歳。願いは、「普通」な大人になる事。茶沢景子(二階堂ふみ)、15歳。夢は、愛する人と守り守られ生きること。そんなふたりの日常は、その日、ある“事件”をきっかけに一変。犯してしまった許されざる罪。自ら破滅に向かっていく住田と、彼を救おうとする茶沢。彼らの未来に、再び光は降り注ぐのか?
日本公開=2012年春
配給=ギャガ
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