[シネママニエラ]アカデミー賞外国語映画賞日本代表作品にも選ばれた『舟を編む』が、第26回日刊スポーツ映画大賞で作品賞、主演男優賞(松田龍平)、新人賞(黒木華)の主要3部門受賞に輝いた。石井裕也監督、松田龍平、黒木華がその喜びを語った。
同作での作品賞受賞は、第38回報知映画賞に引き続き2回目、松田龍平の主演男優賞受賞は第38回報知映画賞と第5回TAMA映画賞に引き続き3回目となる。そして黒木華の新人賞は第5回TAMA映画賞、第35回ヨコハマ映画祭に引き続き3回目の受賞となった。
石井裕也監督「ベテランスタッフばかりの現場でしたが、皆さん真剣に対等に接してくれました。映画作りの楽しさ、すごさを再確認でき、そんな現場から生まれた作品で手にした作品賞だから価値があります。初めての原作映画化でしたが、いろいろなところで勝負して違う引き出しを見たいと思っていた時期でした。普段、クランクイン前に俳優と飲みに行きませんが、松田龍平さんとイメージを共有し、どういう風に映画を作るかなどと探り合いながら酒席で語り合いました。辞書作りという一見地味な仕事を15年かけて成し遂げる主人公、馬締(まじめ)の一生懸命さをどう見せるか。そこを死守するということで一本筋が出来たと思います。そして、馬締という一人の青年の話に僕も松田龍平さんも自分に重ねることができました」
松田龍平「素直にうれしいです。以前は演技について、監督がOKならそれでいいというところがありましたが、今回、疑問に思ったことを監督に伝えないといけないと思いました。後悔したくない。思うところをやり切らないと。俳優として譲れないのは役を演じ、世界を成立させることですから。俳優の道に進み出した頃は、父親の存在が大きいので真逆に生きたい、みたいなことを考えていた気がします。父親がいたら、殴られるだろうなと思いながら。いなくなった年(39歳)まで、あと9年しかないと意識する年齢になり、結局父親が通ってきた道をどこか通っているなと思えてきました。6歳からコミュニケーションしていない、目に見えない父と、俳優をやることでコミュニケーションを取っている感じ。それは特別です。30歳。デビュー15年。来年は父の没後25年。タイミングが重なりました。受賞は力になる。父親も喜んでくれると思います」
黒木華「まさか自分がいただけるとは思わなかったです。どの映画も自分で、こういう風にやるとは決めてかからず、監督や共演者と細かく話し合いました。自分だけでやらないように気をつけています。偉大な先輩方との共演は、経験の少ない私にとって勉強になることが多いです。いろいろ学んでそれを整理して、次の現場で少しでも生かしていきたいです。出会いの運がすごくいいと感じます。自分はできることを一生懸命やってきただけですが、作品の中の役として生きていけるような女優になれたら幸せですね」
米国アカデミー賞のノミネーション発表は、2014年1月16日予定だ。
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