この日のトークゲストは、アイドルライターの小明、映画監督の松江哲明、放送作家の町山広美、映画評論家の村山匡一郎、翻訳家の江口研一。各々が“ヘルツォーク 我が最愛”話を披露し、イベントは約2時間に及び、洞窟壁画、ドキュメンタリー演出論、3D映画、デジタルシネマと35mmフィルムについてなど多岐に渡り、大いに盛り上がりをみせた。
南フランスのショーヴェ洞窟は、1994年に3人の冒険家によって発見された文化史における最も重要な発見のひとつ。フランス政府が入洞を制限しており、本作で許された撮影時間は1日4時間、計6日間。しかも洞窟内に入れるスタッフは、監督を含む4人の撮影隊のみ。優秀なスタッフの経験とアイディアによって様々な創意工夫が施された作品。
ヘルツォーク愛が語られるはずが、小明は「実はヘルツォーク監督のことは何も知らなかったんですけど」と発言。しかしながら「この映画を観て、神社仏閣好きの私としては“スピリチュアルな感じ”がちょっと通じるかな、と思いました。この映画は、自分がまさに探検ツアーに参加しているような気持ちになる、体験型の映画です!」とコメント。町山は自身が担当した番組で洞窟探検を扱っているとのことで、「洞窟をどう撮るかというのは色々考えたのですが、やっぱりヘルツォークの本作は洞窟を観るという意味では、すばらしく見応えのあるものだと思いました!」と絶賛する。
松江監督は映写技師をしていた頃からヘルツォーク好きであり、「熊が大好きすぎて熊にだったら殺されてもいいという男を追ったドキュメンタリー映画『グリズリーマン』は必見。嘘みたいなこと、ホントのことを題材に、ヘルツォークはたくさん映画を撮っているんです」と語れば、村山が「35mm版は奥行き感を自分の感覚で想像しながら楽しめるので、僕はこちらの方が好きですね。ドキュメンタリーはジャンルではなく手法。ヘルツォークのドキュメンタリーは、どんな虚構でも自分の中の真実として押し出す力が強いから面白い」のだと力説。
そして、ヘルツォーク監督と今回電話インタビューで2時間話したという江口は、「35mm版の良い点はヘルツォークのナレーション。独特の語り口の怪しさによって、催眠術のように、まるで後ろでささやかれているような感覚に陥り、違う世界に引き込まれるような感じが、まさにヘルツォークらしさだと思います!」と述べた。
世界が絶賛する美しきワンダーワールドをぜひ劇場で!
原題=CAVE OF FORGOTTEN DREAMS
日本公開=2012年5月12日
配給=スターサンズ、ビターズ・エンド
公式サイト
※『世界最古の洞窟壁画3D 忘れられた夢の記憶』は2012年3月3日公開。
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