[シネママニエラ]第69回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門出品作『アウトレイジ ビヨンド』の記者会見が9月3日(現地時間)、CASINOにて行われ、北野武監督と森昌行プロデューサーが出席。会見には世界各国のマスコミが詰めかけ、多くの質疑応答が飛ぶなかで、東日本大震災後に感じていた気持ちを明らかにした。
本作は、2010年の第63回カンヌ映画祭コンペティション部門にて上映された前作『アウトレイジ』に続き、2作品連続の世界三大映画祭へのコンペティション部門正式上映という快挙となった。以下、北野監督のコメントを抜粋。
キナ臭さ満載『アウトレイジ ビヨンド』最新メイキング映像と人物相関図
――警察・ヤクザ、この映画が描いたもの
北野 武監督:イタリアンマフィアが居るということは聞いている。日本のヤクザとの違いは看板がかけられているかどうかで、イタリアも日本もほとんど同じだと思う。警察・ヤクザの関係は世界共通ではないか。日本でも警察の不祥事が多く何をやっているんだと思う。映画は極力シンプルに描いたけれども、現実とそんなに変わらないと思う。
――エンターテイメント性について
北野 武監督:暴力描写を褒めてくれるマニアックな人々がいるのは嬉しいことだけれども、今回の映画はエンターテイメントだと割りきって自分なりのエンターテイメント性を追求した。そうすると、自分にとっては、家庭、女、女房、子供とかは排除する結果になり、馬鹿な男の話になった。かなり割り切った作り方をしたが、エンターテイメト性を追求するとこんな感じになる。その方が楽しんでもらえるかなと思った。
また、『アウトレイジ』『アウトレイジ ビヨンド』に関しては、自分が撮りたい映画というよりも、観客のことを考えて作った。けれども、いつでもお客さんの入らない映画を作る準備もしているよ(笑/会場爆笑)。
――震災で一年撮影が延期されましたが
北野 武監督:震災で確かに映画の撮影は一年伸びた。震災後の一年間は、逆に自分は怒りを感じている部分があった。世の中、絆、愛、支えとか、表面的なものばっかりでイライラした。こういうときこそヤクザ映画を撮ってやろうとやる気が起きた。
会見終了後には写真撮影やサインを求められるなど大いに盛り上がった。その後のフォトコールでは大勢のカメラマンが押し寄せる中、熱狂するカメラマンの方々からの呼び声に、真摯に応じる監督の姿が印象的であった。この日は、続くレッドカーペットに登場後、公式上映されるため、再びヴェネチアで“北野旋風”が吹き荒れるのか注目される。なお授賞式は、9月8日(現地時間:日本時間は9日)に行われる。
日本公開=2012年10月6日
公式サイト http://www.outrage-movie.jp/
配給=ワーナー・ブラザース映画/オフィス北野
©2012 「アウトレイジ ビヨンド」製作委員会
北野武写真=©KAZUKO WAKAYAMA
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