――初の監督作品を作り上げた今の気持ちを教えてください
ジョセフ・ ゴードン=レヴィット:とにかく観てくれる人たちの反応が楽しみの 一言だね。僕が好きなのは、観る人によって意見や感想、受け取り方が違う映画。実際、この作品も試写をするたびに、熱い議論が交わされたんだ。
――監督に挑戦した理由は何でしょう?
ジョセフ・ゴードン=レヴィット:僕は子どもの頃から、子役として俳優業をやってきたから、自然とメディアが人々に与える影響について考えてきたんだ。映画、テレビ、CM、雑誌、そしてポルノでさえ。常に自分のなかにあったテーマだったから、「ならば、自分で語ってみたい」と思ったのが大きな理由なんだ。主演も脚本も手掛けて、仕事量はとても多かったけど、非常にパーソナルな作品になり、気に入っているよ。
――「Hit RECord」の活動もありますし、これまでの映像制作の経験についてお話ください
ジョセフ・ゴードン=レヴィット:過去にも短編やビデオ作品をたくさん撮ってきたから数百本にはなるんじゃないかな。自分で撮影し、パソコン上で編集したり、音を足したり。そういった経験は今回『ドン・ジョン』を監督する上で、とても役に立ったよ。
――先ほど話していた「メディアが人々に与える影響」が作品の大きなテーマですね
ジョセフ・ゴードン=レヴィット:その通り。僕らは映画やテレビを見たり、雑誌を読んだり、ラジオを聞いたり、ポルノを観たりする。そんなメディアが生み出す“ファンタジー”を楽しむのはいいと思うんだ。問題はそのファンタジーを、現実世界にも期待してしまうこと。だって、リアルな人生はもっと複雑で、微妙なものだからね。それなのに、安易なファンタジーを期待してしまい、自分がガッカリしたり、相手をガッカリさせたり。そんな教訓を込めたつもりだよ。
スカーレット・ヨハンソン『ドン・ジョン』はジョセフ・ゴードン=レヴィット監督に口説かれて出演!
――その象徴が、あなたが演じる主人公のドン・ジョン。そしてスカーレット・ヨハンソン演じるバーバラですね。
ジョセフ・ゴードン=レヴィット:二人とも極端なキャラクターだよね。過剰なほどのポルノを観ているドン・ジョンが、過剰なほどロマンティックなハリウッド映画を観ている“王女様キャラ”のバーバラとつき合うというアイディアが、作品の出発点になっているんだ。
ジョセフ・ゴードン=レヴィット:脚本を書く段階から、バーバラ役はスカーレット・ヨハンソンを想定したんだ。多忙な彼女が、この役を引き受けてくれたのが何より嬉しいよ。まず、言えることは彼女が素晴らしい実力をもった女優だということ。シリアスな演技も、コミカルな側面もバランス良く見せてくれるよね。『ロスト・イン・トランスレーション』や『それでも恋するバルセロナ』を観れば、彼女がいかに特別な存在か分かるはずだよ。実際に共演すると、 改めて非常に聡明で、才能あふれるアーティストだと実感させられたよ。
――スカーレットも、メディアを通してセックスシンボルとして扱われることがありますし。
ジョセフ・ゴードン=レヴィット:その通り。彼女自身もこの映画が問いかけるテーマについて、実に多くの意見や考えを持っていた。さっきも言ったように、彼女は非常に聡明で才能がある。でも、メディアは彼女のルックスだけを大きく取りあげて、内に眠る最良の部分を見逃してしまうんだ。つまり、見た目だけで人を判断して、彼女を一人の人間として見ていないんだよ。主人公のジョンも同じ過ちを犯すけど、それこそがこの映画で伝えたいテーマなんだ。
――ジュリアン・ムーアとの共演はいかがでしたか?
ジョセフ・ゴードン=レヴィット:ジュリアン は僕にとって実在する最も素晴らしい女優のうちの一人だよ。僕の好きな映画にも沢山出演しているしね。『ビッグ・リボウスキ』『マグノリア』『エデンより彼方に』などを観て、女優としての凄さに圧倒されたよ。だから、出演が決まった時は本当に感動したよ。
――あなた自身とドン・ジョンに共通点がありますか?
ジョセフ・ゴードン=レヴィット:僕に似ているというよりは、彼のような資質は男女問わず、誰にもあると思うんだ。人は誰でも「他人をモノとして見る」「相手をカテゴリー分けする」という罪を犯してしまうんだ。そのほうが簡単だからね。もし相手の本質を知りたいのなら、表面から深層までを見つめ、相手の個性が何なのか見極める努力が必要なんだ。
原題=DON JON
日本公開=2014年3月15日
配給=KADOKAWA
公式サイト http://donjon-movie.jp/
©2013 Don Jon Nevada, LLC. All Rights Reserved.
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