[シネママニエラ]映画『そこのみにて光輝く』は、北海道の函館を舞台に、人生に翻弄されている男女の出会いを描くラブストーリー。ざっくり書くとこういう内容になると思うが、実際に鑑賞するとかなり奥深いものだった。女流監督の呉美保監督というと、映画『酒井家のしあわせ』『オカンの嫁入り』と拝見してきたが、劇中の時間の流れだとか家族像の捉え方が、正直あまり好みではなかった。ところが、本作はぴたりとツボにはまった。
登場人物で中心となるのは3人。ある日、達夫(綾野剛)と拓児(菅田将暉)はパチンコ屋で出会う。拓児が暮らすバラックに招かれた達夫は、寝たきりの父、その介護にくたびれきった母、そして姉の千夏(池脇千鶴)と対面することに。千夏に惹かれ始める達夫だったが、ある事実が明らかになり……。
どん底人生から這い上がるために、もがき、苦しむ。そんな姿が映し出されていくので、身心地のいい内容ではない。けれども、そんなキャラクターの人生から目が離せなくなるのだ。
特に千夏を演じた池脇千鶴。最初に登場するシーンでの後ろ姿のエロさ(二の腕から脇のライン!)。そこから『そこのみにて光輝く』のタイトル通りのシーンにつながるまで、彼女の存在なくして成立しない。もちろん、綾野×菅田も期待を裏切らない。アンサンブルキャスト賞と表現するといいかもしれないが、本作では女優・池脇千鶴の魅力と実力を改めて認識させられた。
[映画作品情報]
故・佐藤泰志さん著、三島由紀夫賞候補の小説を映画化。
R+15
2013年 日本映画/120分
日本公開=2014年4月19日
配給=東京テアトル、函館シネマアイリス
公式サイト http://hikarikagayaku.jp/
©2014 佐藤泰志 / 「そこのみにて光輝く」製作委員会
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