瞳の奥の秘密

映画『瞳の奥の秘密』未解決事件の謎×封印された愛【映画で知る世界|アルゼンチン】

アカデミー賞 映画で知る世界 映画作品情報

瞳の奥の秘密
『瞳の奥の秘密』
©2009 TORNASOL FILMS – HADDOCK FILMS – 100 BARES PRODUCCIONES – EL SECRETO DE SUS OJOS (AIE)
[シネママニエラ]主人公は、アルゼンチン・ブエノスアイレスの裁判所の元書記官、ベンハミン(リカルド・ダリン)で、彼は小説執筆のため、25年前の1974年、結婚間もない銀行員の妻が殺害された暴行殺人事件を再び追います。

登場人物の抱える秘密を映像的な表現で見せる傑作サスペンス映画。その瞳の奥の“秘密”の根底が、“愛”だという奥深さにシビれました。

未解決事件の謎、封印された愛――二つの解決に要した時間は25年……。
正義感の強い男に、常に襲いかかるのは過去の思い。彼には、彼なりの時間の経過があったのだが、彼もまた(当時の)体制の被害者のひとりといえる。だからこそ、協力者も現れる。ヒエラルキーの最下層にいる助手が、「人間の本質は変わらない」というキーとなる台詞を発するのも印象的だ。彼は何かと突破口を開く。

ファン・ホセ・カンパネラ監督による適材適所のキャスティングが素晴らしい。俳優たちが実力派なだけに、心理描写がバツグン。演技力とは何ぞやっていうことを感じられる作品でもある。細部までぬかりなく、犯人を追い詰める場面(取調室、スタジアム)は如実。

我々にとっても今、決断したことが、10年、20年先の未来にどのような影響を及ぼすのか。また10年前、20年前の選択を、今どう受け止めるか。筆舌(ひつぜつ)に尽くし難(がた)い
「犯人には長生きして、空虚な時を過ごして欲しい」と思うことは、モラルに反することなのか。愛に基づく、彼の正義。劇中、最大の“秘密”を目にしたとき、あなたの心はどう動くのだろうか。

【映画で知る世界/アルゼンチン】
殺人犯が女性大統領のボディガードを務めるという事態に何とも言えない違和感を持った。なので、アルゼンチンの歴史的背景をちょっとばかり抑えておこう。

世界恐慌後のアルゼンチンは、度々クーデターが続く混乱の時代。現代アルゼンチン史、問題人物とされるフアン・ペロンは、その生涯で三回、1946年~1952年、1952年~1955年、1973年-1974年、同国の大統領を務めました。映画『エビータ』でマドンナが演じた、エビータことエバ・ペロンも彼の妻(1945年に結婚)です。1974年にフアン・ペロンが病死し、副大統領から世界初の女性大統領に昇格したのは、彼の3番目の妻のイサベル・ペロン。
※劇中では、このイサベル大統領を警護している設定。

映画『瞳の奥の秘密』は第82回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した。

映画『瞳の奥の秘密』予告編

原題=EL SECRETO DE SUS OJOS
英題=THE SECRET IN THEIR EYES
日本公開=2010年8月14日
配給=ロングライド
公式サイト http://www.hitomi-himitsu.jp/
©2009 TORNASOL FILMS – HADDOCK FILMS – 100 BARES PRODUCCIONES – EL SECRETO DE SUS OJOS (AIE)

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