[シネママニエラ]完璧美の女優サラ・ガドンは、カナダ出身。鬼才デヴィッド・クローネンバーグ監督作と、その息子ブランドン・クローネンバーグ監督作に続けて出演し、世界的に注目を集めた。また、「世界で最も美しい顔」には2012年、2013年と連続でランクイン。映画『複製された男』で共演した俳優ジェイク・ギレンホールは「彼女との共演は最高にいい経験だった」と語るほど。そんなサラの持論に迫るインタビューをお届けしよう!
◇女優サラ・ガドン仕事への取組み
「映画を作る時、皆それぞれのやり方やアイデアをもって集まるし、アートとは何か、映画とは何か、演技とは何かもそれぞれあるけど、譲るところと譲らないところはバランスを取りつつ、それらをすり合わせることが必要なの。たまに「違う。これが私のやり方で、私はこうやるんだ」と言って最初から壁を作ってくる人もいるけど、いつもそれをもったいないと思うの。それは自分自身を向上させる機会を失うことと同じだわ」
「役者として、特定のジャンルを演じていることを意識しなければいけない時もあると思う。あくまで芸術であると意識すること。私はいわゆるアート作品にも出たことがあるけど、監督はある特定のキャラクターやニュアンス、雰囲気を捉えることを望んでいるの。そういった映画では自分自身を忘れて全くの別人になることを楽しんでいるわ。その役に見合った世界観を作り出すのは創造性を磨くとても楽しい機会だし、仕事のプロセスとしても大好き」
「逆に、リアリティを追求した作品もあるわ。役者として私はリアリティがないと感情的に入り込めないの。例えば涙を流しているときに「演じている」と感じてしまうと、そこで感情が入らなくなってしまうの。だから何よりもリアルさが不可欠なの。この映画にとってはその点がとても大事なのよ。どんなに哲学的で、超現実的で、空想的であっても、私達はリアルな人物を演じているの。『複製された男』の彼らには現実的な人間関係があり、彼女の妊娠がその関係をより複雑にしているの」
◇『複製された男』撮影を振り返る
「『複製された男』のプロジェクトに参加することが決まった時点から私たちは皆、脚本をさらに掘り下げる必要があると認識していたの。各々の役はそれぞれ人生の中で感情的な岐路に立たされている人たちだったから、この作品の性質上、ある程度の追求や冒険、それと即興性が求められたの。それがこの映画の創作プロセスだったの」
「ジェイク(・ギレンホール)と仕事するのは初めてだったけど、彼はアドリブがとても好きなの。そして彼とドゥニ(・ヴィルヌーヴ監督)は長回しのテイクを撮るのが好きなの。逆にシーンの途中から撮影を始めることもあったわ。たまに長回しで撮っていて、そのまま脚本から完全に外れて、書かれてもいないような事を話し始める事もあって。ドゥニとジェイクとあるシーンについて話していると、気づいたら2時間以上経っていたこともあったわ。本編では、おそらく4分程度のシーンなのに。そこに対する論理や考察を可能な限り掘り下げて、膨らませるけど、最後はとてもシンプルでとてもリアルなものに仕上げてくのよ」
「私はジェイクとの共演を通して沢山のものを得たの。脚本通りに何度も演じることよりも、即興から生まれる真実味を大切にしたいの。それがポイント。いかに真実に近づけるかが大事なの。この映画は常に新しい視点を積み重ねながら撮影しているようなものだから、映画の内容に関して、撮影が始まるずっと前からジェイクが言っていたことを忘れないようにしているの。そんなシンプルな考え方を忘れないようにすることで、実存に対する大きな問いかけをするこの映画の本質を見失わずに進んで行けたの」
◇サラ・ガドンの理想の男性像
「私はこの映画について多くの女性と話してきたわ。妊娠中の女性に既婚女性、複雑な関係を抱えている女性、その中で思ったのは、女性にとってこの考え方はとても分かり易いということ。私も初めて脚本を読んだ時に想像したの。元カレが突然私の家に現れて、その日だけでも私の理想の男性になっているとしたら、もうそれで全てが変わるってね。映画の中の二人の関係を考える時にいつもその事を思い出すわ。少なくとも私にとってそれがリアルな気持ちだから。だから私は自分が演じたヘレンのことをこう解釈しているわ。彼女は彼に理想の男性でいてほしいけど、彼は元々そんな人じゃない。だけどある日帰宅した彼は、まさに理想の男性に変わっていた。目の前に夢にまで見た男性が立っていることで、その他のことはもうどうでもいいと思えるから」
映画『複製された男』は2014年7月18日[金]よりTOHOシネマズシャンテほか全国公開
R15+
2013年/カナダ・スペイン合作/90分
原題=ENEMY
日本公開=2014年7月18日
配給=クロックワークス、アルバトロス・フィルム
公式サイト http://fukusei-movie.com/
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