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インタビュー:映画監督から見た大富豪夫妻の面白い点とは?

ローレン・グリーンフィールド監督[シネママニエラ]不動産王の華麗なる転落を追う実録映画『クィーン・オブ・ベルサイユ大富豪の華麗なる転落』のローレン・グリーンフィールド監督がインタビューに応じ、映画監督から見た大富豪夫妻の面白い点などを語った。

シーゲル夫妻の写真

――シーゲル夫妻と彼らの豪邸建築を映画化された経緯を教えてください。

私がジャッキー・シーゲルと出会ったのは、2007年にELLE誌のためにドナテラ・ヴェルサーチを写真撮影していた時でした。ジャッキーはその当時、ヴェルサーチの上客の一人で、洋服に100万ドルを使っていました。彼女は、とても社交的かつフレンドリーで、彼女の7人の子供たちが自家用機のタラップに立っている写真を私に見せてくれました。そして彼女の友人たちが、私がフロリダに行き、ジャッキーと子供たちの写真撮影することを提案したのです。その後、ジャッキーからアメリカ最大の邸宅を建設していると聞いた時、私はその話に惹かれて、ぜひ家を見たいと思いました。家を持つことと、アメリカンドリーム、そしてそのアメリカンドリームが、好景気の間にどんどん大きくなっていく様、この三つの関係性に、私は長い間、興味を掻き立てられたからです。

ヴェルサーチの開店パーティの晩に、私が撮影したジャッキーと彼女の友人たちの金色のバッグの写真は、TIME誌によって「新・金メッキ時代」というタイトルとともに、「今年の一枚」に選ばれました。それから初めてオーランドに行き、ジャッキーの家に滞在して、彼女と夫のデヴィッド、子供たち、ベビーシッターたちと共に時間を過ごした際、ただの一連の写真を撮るより、ここには映画的な要素があると感じ、最初のインタビューを行いました。そして、私はジャッキーとデヴィッドたちを知れば知るほど、彼らの人生を興味深く思えるようになったのです。

映画を撮影しているさなかに金融危機が起こると、二人の性格のもっともっと魅力的な面が明らかになっていきました。デヴィッドは、億万長者であるにも関わらず、持っていたもの全てを自分の事業に賭け、彼の事業における最大の遺産、ラスベガスタワーを失います。ジャッキーは逆境に負けない人で、夫には彼らのライフスタイルをこれ以上続けられる資金がないかもしれないと思った時でも、夫に対し本物の愛情を示します。彼らの人生に起きたドラマティックな出来事によって、彼らの人格がより魅力的な形で浮彫りになりました。

――監督から見た大富豪夫妻の面白いと思った点と、疑問に思った点はどんな所ですか?

米国ベルサイユと子どもたち

デヴィッドとジャッキーの人生すべてに興味をそそられました。二人が貧しい生まれであることと、無一文から大富豪になったという物語が、皆が思う「普通」の億万長者より、もっと地に足がついた、親しみやすい存在にしているのです。ジャッキーは信じられないくらい寛容で、心が広く、付き合いやすい女性です。デヴィッドの労働観や、事業や従業員に対するひたむきな献身ぶりは、尊敬にあたいします。

しかし、二人はアメリカ最大の邸宅を建設するという計画を持ち、並外れた生活を送っていました。ほとんどの人が、常軌を逸していてやりすぎだと考えるような目標です。しかし、リーマンリョックや、財政的な苦労によって、彼らは現実の世界に呼び戻され、それがある意味、思いもよらなかった形で、彼らを共感できる存在にしたのでしょう。

撮影で彼らを知るにつれ、本当に驚いたことがありました。一つはデヴィッドがラスベガスでではなく、自分の事業において、ギャンブラーだったということ。彼は10億ドル以上の大金を持っていましたが、6億ドルのラスベガスタワー(その当時、世界で最も高いタイムシェアのビルになる予定でした)建設に必要だったビジネスローンの、個人的な保証人になり、資産の全てを事業の成長に賭けたのです。

また、私はジャッキーにも驚かされました。彼女は自家用機や豪邸を持ち、買い物三昧する億万長者の生活を愛しているように見えます。けれども金融危機に見舞われると家族を大事にする思いや、夫への愛が引き出されていく。私が思っていたほど、彼女にとってお金は重要ではなく、どんなことがあっても夫のそばにいるであろうことは明白でした。ジャッキーは自分にお金が無い時でも、困っている友人にお金を貸してあげていましたし、つらい時期も家族をまとめようと努力していました。ジャッキーもデヴィッドも、金融危機による厳しい日々を通じ、サバイバーとしての彼ら本来の姿を見せてくれました。

――撮影中にリーマンショックが起こり、作品が当初の予定より変わることが予想されたと思いますが?

金融危機が、シーゲル夫妻の計画や人生、財産に与えた影響は、撮影開始時には予想もしていなかった形で、映画の語り口にとって極めて重要なものとなりました。この映画はアメリカンドリームの研究として始まりました。しかし次第に、アメリカンドリームと、私たちが、国として、個人として、アメリカンドリームを追い求め、道を失っていく様を、深く探求するものへと変わっていきました。

しかし、私はそれを「笑える」ことだと言いたくはありません! この映画は、ベルサイユ建設計画についてのコメディとして始まりますが、デヴィッドとジャッキーが金融危機の圧力に対処していくにつれて、悲劇へと変化していきます。それは、家や夢を失うという現実に直面した、あらゆる社会経済レベルの家族たちと同じなのです。

インタビューの後編:金融危機が世界中に与えた影響から学ぶ、に続きます。

映画『クィーン・オブ・ベルサイユ大富豪の華麗なる転落』は、2014年8月16日[土]より新宿武蔵野館ほかにてロードショー

2012年アメリカ、オランダ、イギリス、デンマーク合作映画/100分
原題=THE QUEEN OF VERSAILLES
日本公開=2014年8月16日
配給=スターサンズ
公式サイト http://www.queen-cinema.jp/
©2012 Queen of Versailles, LLC. All rights reserved.

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