無一文からタイムシェア(共同所有)リゾートビジネスで、巨万の富を得る大富豪となり、ジョージ・W・ブッシュを大統領にのし上げた男と言われる夫デヴィッド・シーゲルと元ミセス・フロリダの妻ジャッキー。
――もし監督に夫妻ほどの財産があって投資するとしたら?
ベルサイユ宮殿からインスパイアを受けて、8,361平米の邸宅を建てることなんて、デヴィッドとジャッキーに出会わなければ想像しなかったでしょう。デヴィッドは「私には可能だったから建てたんだ」と言っていました。ジャッキーにとっては、ファンタジーの実現でした。デヴィッド・シーゲルについて言えば、投資というより、夢の実現であり、自分のエゴを表現したものだったと思います。又、彼は自分の事業にも投資しました。彼が家を売ろうとした時には買い手が見つからず、それが大した投資ではなかったことが分かりました。7,500万から1億ドルする家を買いたいと思っているような人は、そう多くはいないでしょうからね。
――聞きにくい質問ですが、映画公開後にシーゲル夫妻と裁判になったと伺っています。そのことはアメリカでどのような反響がありましたか?
聞いてくださってありがとう。デヴィッドは映画祭の晩、私たちとサンダンス映画祭を名誉棄損で訴えました。この物語が、彼自身が言った言葉なのですが、「大金持ちの転落物語」だと報道をされたことに基づき、訴訟を起こしたのです。私たちは訴訟に勝ち、弁護士費用として75万ドルを勝ち取りました。判事はこの映画内の発言はすべて真実だと判断しましたし、実際すべて真実です。
デヴィッドによると、訴訟を起こした理由は、映画の最後で、彼の人生においてとてもつらい一章である、ラスベガスタワーを失う自分の姿を映っていることが、気に入らなかったためだからそうです。マスコミはこの訴訟を馬鹿げたものだと考え、そのように報道しました。マスコミや他の映画製作者は、最終的に私たちが裁判に勝ったこと、これが表現の自由の圧倒的な勝利でもあることを、とても喜んでいると思います。
その後のシーゲル一家について。彼らはNBCユニバーサルのリアリティーショーの制作プロダクションと映画の続編にあたるテレビ番組制作の契約を成立!
――日本での公開は8月16日です。この映画を特にどのような人に見て欲しいと思いますか?
映画『クィーン・オブ・ベルサイユ大富豪の華麗なる転落』をアメリカで公開して分かったことは、この映画は幅広い観客、若者やお年寄り、お金持ちや貧しい人々、中産階級、あらゆる出身の人たちにアピールするということです。ユーモラスでありながら悲劇的であり、普遍的でありながら象徴的で、娯楽性がありながらためにもなります。金融危機や強欲さ、野心、そしてそれを引き起こした消費主義についての訓戒的な物語なのです。
この作品はアメリカンドリームの美点と欠点の両方について語っています。しかし、金融危機が世界中に与えた影響から我々が学んだように、アメリカンドリームは、世界中で同じような例を持つどこにでもあるような夢なのです。日本の観客の皆さんにこの映画を楽しんでいただければと思います。
こちらのインタビューは映画『クィーン・オブ・ベルサイユ大富豪の華麗なる転落』ローレン・グリーンフィールド監督インタビュー:映画監督から見た大富豪夫妻の面白い点とは?の続きです
映画『クィーン・オブ・ベルサイユ大富豪の華麗なる転落』は、2014年8月16日[土]より新宿武蔵野館ほかにてロードショー
2012年アメリカ、オランダ、イギリス、デンマーク合作映画/100分
原題=THE QUEEN OF VERSAILLES
日本公開=2014年8月16日
配給=スターサンズ
公式サイト http://www.queen-cinema.jp/
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